新幹線の高架橋をくぐるといよいよ羽沢(はざわ)で、地図ではきれいな半円形の地域です。
車窓から見た記憶がある脳神経外科病院が見えました。その前に中華料理屋さんがあり、むしょうにお腹が空いてきてふらりと入ってしまいました。窓側の席に座ったところ新幹線が通過していくのが見えて、新幹線をながめながら食べることと「ランチする」という二つの夢がかないました。
美味しいご飯に満足して歩き始めましたが、12月下旬で日が暮れるのが早いですから先を急ぎましょう。残念ですが、羽沢地区の半円形の内側に見える鳥山川の水源のあたりを見届ける時間がなくなりました。
また新幹線の高架橋をくぐると、「見よ右左」と「新大阪 東京」と矢印が書かれた標識がありました。作業をする方々にとっては大事な方向なのですね、きっと。
*山を越えて、帷子川の流れる地域へ*
しばらく小高い場所を新幹線の高架橋に沿って歩くと、途中、高齢者施設があってその先でトンネルになりました。上に温室があります。そのトンネルの上のあたりを歩くと、両側が谷のようになって街があるのが見えました。北西が「西谷」駅のある地域で、南東が羽沢や保土ヶ谷でしょうか。
尾根のような場所にも住宅が建ち並んでいて、谷の反対側の斜面もぎっしりと家が建っています。
西谷の方向に川が見えます。そこまで急な下り坂を降りていく途中で富士山がくっきりと見えました。
小さな流れは帷子川(かたびらがわ)の支流で、まるで渓谷のような急峻な地形で川に近づくまで急な石段を降りる必要がありました。もう膝がガクガクですが、駅の方から買い物を終えて家に帰るために登っていく人とすれ違いました。
すごいですね。車窓から見えた崖っぷちに立つような住宅地では、毎日こうして上り下りしている生活なのですね。
ようやく谷の底のわずかな平地に出て相鉄線の踏切を渡り、商店街を抜けて帷子川に出ました。右岸側はまたすぐに崖です。
蛇行する川に沿って歩くと、また新幹線の走行音が聞こえてきました。
先ほどのトンネルから出てきた新幹線は、この先の帷子川を通過していきます。その高架橋の手前に右岸からの小さな支流が合流していましたが、ここもまた渓谷の趣です。
高架橋をくぐって北側へと出ると、少し開けた感じになって右手に公園が見えてきました。
田原橋公園に東屋があるので、そのベンチに腰掛けるとちょうどいい具合に新幹線の高架橋が見える場所です。その真下に赤い鳥居があるのも見えました。
しばらく何本か新幹線をながめました。E席に座ったらこの東屋とベンチを見逃さないようにしたいものです。
*帷子川の旧河道から放水路と水門へ*
田原橋公園には小さな池と水路があって、山に沿って遊歩道やベンチが整備されていました。
地図で見つけた時に、帷子川の旧河道を利用したのだろうと想像した通りです。
高架橋を超えた時に「開けた場所に出た」という感じも、このあたりがかつては帷子川が蛇行しながら広がった土地だったからかもしれません。
そんなことを考えながら相鉄線の高架橋を超えて帷子川ぞいにしばらく歩くと、地図で気になっていた堰のように幅が広く水色で描かれた場所が見えてきました。
周囲は遊歩道やベンチが整備されていて、北側には地図ではわからなかった大きな水門があります。
横浜治水事務所の表示はあるのですが、どのような機能があるのかはわかりませんでした。
新幹線の高架橋から上流へ250mほどのところです。
このあたりからまた渓谷のような場所の両岸に、家が建っています。
右岸がわを歩いていると山側へとまた公園の入り口があり、林の中の小さな流れに沿った遊歩道が鶴ヶ峰駅まで帷子川親水公園が整備されていました。
現在の帷子川はこの旧河道よりもかなり低い場所に流れがあるのですが、かつては一旦洪水が起きれば被害が大きかったのでしょうか。
もう少し上流まで歩いてみたかったのですが、ここで日が暮れてしまったので今回はあきらめました。
帷子川親水公園から鶴ヶ峰駅までは、両側がまるで要塞のようにコンクリートで固められた住宅地の間の勾配のきつい坂道を登りました。
かつては帷子川の流れがぶつかりながら渓谷へと削っていった跡かのような場所でした。
羽沢地区の鳥山川は西から東へ流れて鶴見川へと合流するのですが、わずか数百メートル西側では水の流れは帷子川へと流れこむので、あのあたりが分水嶺になるようです。
鶴見川の氾濫原から帷子川の渓谷のような流れを、一気に新幹線が通過していくのですからなんだか圧倒されますね。
そしておそらく1960年代は家と畑がまばらにある地域だったと思われるのに、今は山肌にぎっしりと家が立ち並ぶ風景でたくさんの人が生活をしているのですから、浦島太郎の気分になるのも仕方がないですね。
気になっていた新横浜駅から西谷駅のあたりまでの車窓の風景を、少しだけ歩くことができました。
*おまけ*
今回の散歩のもう一つの目的に、相鉄線が乗り入れているJR湘南新宿ラインに乗ってみることがありました。
西谷駅を出るとすぐに地下へ入り、羽沢のJR貨物ターミナルのあたりで一旦地上に出るとまた地下に入りました。
GPSも追いつかないのでだいぶ深い場所を通っているようです。生麦駅の手前で地上に出たあと鶴見駅や新川崎駅など主要な駅も通過して大きく迂回しながら武蔵小杉駅まで約17分間も止まらないことも初めて知りました。
武蔵小杉駅の手前で新幹線の高架橋が近づき武蔵小杉駅で停車、並走する区間に入って夕闇迫る多摩川を渡って散歩が終わりました。
なんだかすごいですね。
「散歩をする」まとめはこちら。
新幹線の車窓から見えた場所を歩いた記録はこちら。