水のあれこれ 346 鳥山川沿いに水源の羽沢へ

川と関わり合いの深い「羽」の地名ですが、横浜市の羽沢(はざわ)のあたりは湾曲した地形の北側に細い水色の線が描かれています。たどると途中でいくつか川合があり、しだいに川幅が広がって最後は新横浜駅の北側を流れて鶴見川に合流しています。

ところが、MaciPhoneの地図では川の名前がありません。まずは新横浜駅から新幹線を眺めながら、この水色の線をたどることにしました。

 

横浜駅まで新横浜ラインができたので、乗ってみることにしました。日吉までは東急東横線と同じなので見慣れた風景ですが、日吉の先から地下に入ると鶴見川の下を深く潜るのか耳の閉塞感が出て、GPSも追いつかなくなりました。

横浜駅直前でGPSが追いつき、下車すると地下4階でした。

 

いつか歩いてみたいと思っていた新幹線の車窓から見える新横浜駅南側の崖線(がいせん)が目の前に見えますが、線路の反対側の鶴見川の氾濫原にできた新しい都市とはまったく違う風景です。

そして崖っぷちに立つ家が、20年ほど前に比べてだいぶ増えました。

 

 

*鳥山川からの水路*

 

横浜駅の篠原口に出ると、ホームに次々と新幹線が入ってくるのが見えます。広島行きのアナウンスが流れていました。乗ってしまいたくなるのをこらえて歩き始めました。

 

車窓からも見えていた竹藪と崖のそばに来ました。

12月下旬、真っ青な冬空に竹の緑とサワサワという音がなんとも美しい場所です。手前に小さな水路があるようです。のぞき込むときれいな水が流れ、芹のような水草が青々と生えていました。

水の流れは西から東へ向かっていますから、かつてはこのあたりに田んぼがあったのでしょうか。

 

水路を眺めながら歩くと新幹線の高架橋にはさまれた場所にずっと続いていて、その崖側の細い敷地に家や陶芸のお店やお蕎麦屋さんがありました。そばの桜の木が令和6年に伐採されることになったという案内が貼ってありました。

真上を新幹線が通過していく近さなので、走行音しか聞こえません。きっとこの街並みは車窓からも見えないことでしょう。

高架橋のところどころ途切れたところで見える反対側は、マンションやビルが立ち並んだまっすぐの区画で別世界のようです。

 

コンクリート三面張りの水路ですが、美しい水に惹きつけられながら歩いていると暗渠になり住宅地が広がりました。静かに何本も新幹線が通過していきます。おそらく新幹線が通ってしばらくして開発された地域ですね。

その先の切り通しの県道12号線を渡ると先ほどの水路が開渠になって、山に沿うように高架橋の下を反対側へとつながっています。切り通しの山の上には墓地がありました。

その先に橋があり国土交通省の「とりやま川」という表示板があり、地図ではわからなかった川名です。

 

鳥山川

神奈川県横浜市神奈川区羽沢付近に源を発し北東に流れる。横浜市港北区新横浜付近、新横浜公園東側を流れて大豆戸町鶴見川に合流する。途中で砂田川(すなだかわ)が合流する。

Wikipedia、「鳥山川」「地理」)

 

この川から新横浜駅の崖の近くまでの水路に取水されていたようです。

距離にすると新横浜駅からちょうど1kmで、新幹線があっという間に加速して過ぎてしまうあたりでしょうか。

 

*鳥山川沿いに羽沢へ*

 

先ほどの橋は砂田橋で、県道13号と新横浜通りが合流して大きな鳥山東交差点があります。その先にこの鳥山川に西の鴨居町の方からもう一本川が合流するのが砂田川でしょうか。

「砂田」、どんな経緯でつけられた川の名前でしょう。

水がどんどん染み込んでしまう地質だったのでしょうか。

 

この交差点から鳥山川本流に沿って羽沢まで歩くために、いったん新横浜通りへ曲がり新幹線の線路から離れました。

途中の「山王森公園」へと急な上り坂を下を向いて歩くと、そこからは道路の反対側のなだらかな斜面にぎっしりと家が立ち並ぶ様子が見えました。

こちら側は県営団地の小高い場所のゆったりとした敷地で、てっぺんにすり鉢状に公園が造られています。

この山裾に沿って鳥山川が流れていて、そこへ降りる石段がありました。

目の前をまた新幹線が通過していきます。次に乗ったら、この石段を見逃さないようにしたいものです。

 

膝がガクガクする勾配の石段を降りて、鳥山川沿いに出ました。

水音と時々新幹線の走行音が聞こえるのどかな川沿いの道を歩くと、しだいに左手は崖のように高くなり、その間を蛇行しながら流れる場所になりました。

右手は平地で住宅が建ち、その向こうに新幹線が通過していきます。

尾根のような斜面に家が立ち並ぶ風景に圧倒されていましたが、その裾野にはこんな急な流れがあってそのそばを安全に新幹線が通っていたことに初めて思い至りました。

 

このあたりまでくると新幹線も相当加速されるのか、そばでは通過する速さを目で追えないくらいです。

 

蛇行した鳥山川に沿って高架橋の下を反対側に出ると「八反橋」があり、その先に新幹線の高架橋のさらに上を県道13号の高架橋が交差する、近未来的な場所がありました。

「八反橋」、どんな名前の由来や歴史があるのだろうと思いながら歩いていると、いつも車窓から見て気になっていた建物が見えました。

 

日本味噌株式会社というのですね。1885年(明治18)創業だそうですが、ここに工場ができたのが1961年(昭和36)のようですから、目の前の新幹線の高架橋ができ始めていたころでしょうか。

 

ようやくそばを歩くことができたと満足しながら、鳥山川に沿って歩くとJRの羽沢貨物ターミナルの敷地が見えてきました。

三枚町の交差点の手前で鳥山川は暗渠になり、親水公園がありました。

 

その先に新幹線の高架橋、相鉄線の高架橋、そして県道13号と入り乱れた交差点があり、いよいよ反対側が羽沢です。

新幹線高架橋の真下に赤い小さな鳥居がありましたが、これはさすがに車窓からは見えない風景ですね。

 

新横浜から鳥山川に沿って歩き、いよいよその水源の羽沢に入りました。

 

 

 

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