水のあれこれ 362 小さな安間川の歴史

金原明善記念館へ向かう途中、安間川(あんまがわ)を渡りました。

その少し上流の川合に安間川公園があり、時間があれば訪ねてみようかと思っていました。

最近は、川沿いにある公園を制覇したくなっています。無謀ですけれどね。

 

実際に渡った安間川は予想よりも小さな都市河川でした。

天竜川右岸地域の用水路として整備されたのだろうかと思いながら地図を眺めていたのですが、金原明善資料館に展示されていた詳細な天竜川の変遷の地図をみると、流れを変えながら大きな洪水を起こしていた支流の一つにも見えます。

 

明善の生家のすぐそばですから、彼が一生を治水に捧げるきっかけになった洪水でも濁流を発生させていたのかもしれません。

 

*住民による河川整備*

 

天竜川の変遷の詳細な地図の展示を見ていたら、いつかこの安間川も歩いてみたいと思うようになり検索してみました。

 

静岡県浜松市中央区豊町付近に源を発し南流。天竜川に河口から4kmほどの位置にある浜松市中央区東町付近で天竜川に合流する。全長11.5km。

上流は、以前は農業用水として利用されていたこともあり、コンクリート水路の状態で自然が少ない。下流域は逆に、木がうっそうと茂って希少種の生息も見られるような自然豊かな場所もある。

東区下飯田町にある飯田公園より下流は、以前の天竜西派川の跡地を流れている。

一級河川でありながら河川周囲の整備が遅れており、中流域では現在もしばしば浸水の被害がある。2008年度(平成20年度)には地域住民らを加わった河川整備の取り組みが国土交通省のてづくり郷土賞を受賞した。

Wikipedia、「安間川」「地理」)

 

ここ数年、川の説明を読む機会が増えたのですが、この簡潔に地理を表現するためにはどれだけ川のそばを歩き、観察し、歴史を学ぶのでしょう。

すごい文章ですね。

 

Wikipediaの安間川の脚注を読むと、もう少し詳しく書かれていました。

流域のみんなで洪水防止 安間川水辺再生まちづくり

 

 安間川は、浜松市東部に位置する流域面積約21㎢、河道延長約14kmの一級河川です。特に中流域の長上地区では約2年に1回の割合で内水氾濫が発生し、被害拡大の懸念と安全性への要望や多様な自然環境・潤いある生活環境の場としての要望が高まっていました。

 このような背景から、県では「安間川河川整備計画」の策定(H16.4策定)にあたっては、地域住民の意見を集約した構想を計画に反映させることとし、平成13年度に地元NPOを中核とする協働事業がスタートしました。その結果策定された「市民原案」は、河川整備計画にそのままの形で反映されました。

 また、河川整備に先立つモデル区間とした長上地区では、地域の意見を反映させた短期施策や親水空間の整備が行われ、これらの社会資本を土台とし、地域住民を主体とした活動「河川里親」、「水仙10年プロジェクト」等が行われています。この治水事業に端を発した安間川の活動は、単なる河川改修にとどまらず、様々な形で人々を結びつけ、リーダーを担う人材が育成され、確実に新しい地域づくりにつながっています。

 (静岡県浜松土木事務所)

 

安全性もそして景観も、そしてそこに住む人も参加する、川がきれいになり始めた頃を思い返すとすごい変化ですね。

そして自宅に水利学校を開いた金原明善は一世紀後のこんな社会を想像できなかったかもしれませんね。

 

 

散歩の途中で出会う「小さな川」に、それぞれの歴史があることを知ることは楽しいものです。

 

 

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