シュールな光景 37 災害に「創造的復興」とか「復興の隘路」とか

6月30日に突如として「創造的復興」という単語が使われました。

なりわいと同じく、なんだか冷たくて嫌な表現だなあと思いながら聞き流していました。

 

翌日に「あの日から半年」に合わせた能登半島訪問がありました。

 

岸田首相、能登半島被災地視察 復興支援チームが発足

(JIJI.COM、2024年7月1日)

 岸田文雄首相は1日午前、能登半島地震の被災地視察のため、石川県輪島市を訪れた。

 地震発生から半年のタイミングで、復旧・復興に総力を挙げる姿勢を改めて示すのが狙い。同日付で発足した「能登創造的復興タスクフォース」の初会合にも出席し、地方自治体と協力して被災地支援に取り組む方針を示した。

 首相は同会合で、家屋の公費解体や水道復旧が遅れている現状を踏まえ、「国、県、市町の緊密な連携が必要だ。復興の隘路(あいろ)となる課題を霞ヶ関一体となって解決するなど、被災自治体のニーズに沿った創造的復興まちづくりを全力で支援する」と強調。被災した同県立輪島塗芸技術研修所(同市)の再開に向け、国が追加支援を行う方針も示した。

 首相は続いて大きな被害を受けた七尾市和倉温泉を視察。この後、記者団に対し、周辺の護岸の復旧工事を国が主導する考えを明らかにした。能登地域の観光復興のため、同地域を対象とした補助率7割の「復興応援割」開始に向けて準備を進めるとも説明した。

 

「創造的復興」ってなんだろう。

霞ヶ関一体となって」「霞ヶ関ワンチームで復興に臨んでいく」と聞くと、「威勢が良い言葉」や「カタカナ語」を多用している人は、現場には必要のないことをやらかしそうな警戒感がありますからね。

 

で、観光という言葉で生活が骨抜きにされていくところに行き着くのではないかと、杞憂ならいいのですけれど。

 

*うまいことを言う人にも要注意*

 

「隘路」ってなんだっけとググったら、「道路として狭い、進行の難所」(Oxford Language)でした。

Wikipediaの英語版の訳が真っ先に出ていました。

英語からの翻訳 地理学では、隘路は山や丘の間の狭い道や峡谷です。この用語は、軍隊が狭い列または狭い前線のでのみ行進できるルートの軍事的記述に由来します。隘路から開かれた国に出現すると、兵士は「デバウチ」すると言われます。

 

「復興の隘路となる」

まるで能登半島の道路が寸断された場所をいくイメージが重なりますね。

きっとこの言葉を思いついた人はうまいことを言ったと思ったのではないかと想像しましたが、被災された方々にはこの表現はどう受け止められることでしょう。

 

7月1日にはさまざまな番組で、住民の方々の言葉が伝えられました。

静かに感情を抑えながらも「遅い」と言う気持ちが伝わりました。

 

 

なんでこんなに政府は国民に対して鈍感になってしまったのだろうと思うことが増えたのですが、しれっと看板を付け替えてきたからかもしれないですね。

シュールですね。

災害対応という現実問題に文学的表現を使うことには要注意。

また一つ勉強になりました。

 

 

 

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