生活のあれこれ 50 日本でテレビを観ることができないということ

人生とはこんなにも理不尽なことが起こり続けるのか、と思う今年の始まりでした。

 

その2週間後に大和川を歩くために泊まったホテルで、BS放送が石川県向けになっていることに気づきました。

通信インフラが断絶してテレビもまだ復旧していないのだろうと思いながらも、状況を確認しないままにしていました。

 

2月も、3月も、4月もそして5月も、遠出した先のホテルでは、まだ石川県向けの放送が続いていました。

そして先日、「NHK、BS被災地向け放送終了へ 地上波など復旧で」(サンスポ、2024年6月25日)とありました。

 

大きな災害のあと、今回のように長期間テレビの受信ができなかったというニュースは記憶にありませんでした。

 

 

*被災地向けの放送の経緯*

 

時系列を見てみると、地震発生12日後にこの対応が始まったようです。

NHK BSの3チャンネル(BS103)で総合テレビ(石川向け)放送

NHK NEWS、2024年1月11日)

能登半島地震で特に被害が大きかった被災地では、インフラが寸断されたため、地上波の放送が見られなくなっているところがあり、NHKでは、BSの3チャンネルを使って、9日から随時、総合テレビの金沢放送局の地域向けニュースや全国ニュースなどを放送し、能登半島地震の最新情報をお伝えしています。

被災地の方々からはニュース以外の番組も視聴したいという声が寄せられていることを受けて、NHKでは12日午前4時から、石川県で放送している総合テレビのほぼ全ての番組をBSの3チャンネルで放送します。地上波が見られない地域では、BSの3チャンネルで総合テレビのニュースや災害情報、番組をご覧ください。

 

羽田の事故は着陸直前からの映像がすぐにネットで広がったのに対して、元旦の「大津波」の警告の後、ニュースに能登半島の状況が放送されるのは翌日までかかったことに、通信、電気などのインフラの相当の被害を想像していましたが、テレビの地上波もずっと観ることができない状況でもあったようです。

 

災害時の状況やライフラインの復旧状態を把握し、短期・中期・長期の見通しを考えるのに重要なテレビ放送ですが、3月下旬でもまだ完全に復旧できていなかったようです。

 

NHK、空きBSチャンネルで、能登半島地震の被災地向け放送継続へ

朝日新聞DIGITAL、2024年3月26日)

  NHKは26日、能登半島地震を受けて、衛星放送の空きチャンネルを使って、金沢放送局が石川県域向けの放送を継続するため、総務大臣に認定の申請をしたと発表した。昨年11月まで「BSプレミアム」として使われていた「BS103チャンネル」の免許が3月末で切れるための対応。延長期間は、現時点で1ヶ月間延長し、その後は被災地の状況を見て決められるという。

 NHKは1月、地震によって地上波放送が見られなくなった被災地域があったことから、BS103チャンネルで、金沢放送局のニュースやライフライン情報などを放送している。石川県内はケーブルテレビを利用している世帯が多く、現在も復旧が完全にできていないという。

 山名啓雄メディア総局長は、免許が切れる対応について、13日の定例会見では「ケーブルテレビの復旧状況や被災された方々の状況なども踏まえて、関係者と協議しながら、対応を話し合っていく」と述べていた。

(強調は引用者による)

3月末に1ヶ月の延長を決め、さらに6月末まで延長の延長が行われたようです。

 

あの東日本大震災で、立っていられないほど揺れている中でテレビをつけたところ目に入ったのは津波の押し寄せる大船渡の映像でした。

そこからずっとNHKをつけっぱなしにして状況を把握し、翌日なんとか出勤しました。

 

以来、災害時や大きな事故や経験したことのないような事件が起こると、必ずテレビをつけて状況を知るようになりました。

 

災害時に情報を得る手段がない。被災後の生活の復旧の見通しをたてるためのテレビ放送を観ることができない。

能登半島ではそんな状況が続いていたのですね。

そしてテレビ放送を復活させるために尽力されていた多くの方々の力があった。

それが遠出で宿泊したホテルでのBS放送の意味だったのだと。

 

 

*おまけ*

 

災害時の対応を後出しジャンケンで批判することは避けたいのですが、このテレビの件を振り返るだけでも、政府が1月25日に出した「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」はやはり何か対応の優先順位がずれているような印象ですね。

そしてこれまで災害のたびにこの国への信頼感が積み重なってきたというのに、何かがおかしくなってきたという違和感が強くなってきました。

 

 

 

 

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