水のあれこれ 20 <プールの中の最大多数の最大幸福>

気温が上がって、いつも行くプールも常時混むシーズンになりました。
夏以外は、どの時間帯もそれぞれ常連と人数がだいたい一定していて、自然とプールの中にも泳ぎ方の秩序のようなものができています。


「あの人はこういうペースで泳ぐだろうから、私はこのペースで」と自然と見極めている感じです。


ところが、倍以上の人数がコースに入るこの時期はどうしても流れが滞りやすくなりますし、いつもの半分ぐらいの距離しか泳げません。


人数が増えたからだけではない理由があるのではないか、と毎年この時期になるとこの「問題」を考え続けながら泳いでいるのですが、ふと「最大多数の最大幸福」という言葉が浮かんできました。


思い浮かんだもののこの言葉の由来は何か思い出せずに検索したら、ジェレミ・ベンサムという人が作り出した言葉なのですね。高校時代にでも習ったことがどこか私の頭の片隅に残っていたのでしょうか。

今日の記事は、勝手に私の中で思いついた「最大多数の最大幸福」の話です。


<競泳大会のアップから学ぶ>


いよいよ世界水泳が始まります。
「カザンに行きたい!」「競泳会場で観たい!」とこらえながら、録画を観るのに忙しい毎日になりそうです。


私が競泳日本選手権やJapan Openに通う楽しみのひとつに、競技前のウオーミングアップの様子をみることもあります。


開場直後から1時間ぐらい、選手の方々が泳いでいる様子が見られます。
1コースあたり数人から10人ぐらいが周回しながらアップをしています。
50mの距離ですが、競泳選手の速度ですからこれくらいの人数でないと他の人との十分な距離が保てないのかもしれません。


それぞれが、それぞれの最後の調整をしているようです。ある人は腕のかき方やキックを念入りに調整したり、ある人はストリームラインを意識しながら泳いでいるようにも見えます。比較的ゆっくりそうした泳ぎをしている人もあれば、ダッシュするようにスピードをつけて泳いでいる人もいます。


私は自己流で泳いでいるだけで専門的なことはわからないので、その情景が伝わるような資料がないか検索したら、「競泳のウオーミングアップにおけるスプリント泳がパフォーマンスに及ぼす影響について」という早稲田大学の卒論が公開されていました。
すごいですね。ウオーミングアップだけでも40分ぐらいで2,000〜2,500mは泳ぐのですね。比較的ゆっくり泳いでアップしているように見えても、かなりスピードはあるのだと思います。


そのスピードとそれぞれの選手がそれぞれのペースで泳いでいても、ぶつかることもないし相手の邪魔にならないように整然とウオーミングアップが続けられているのです。
ワールドカップなどの国際大会になると、さらに1コースでのウオーミングアップの人数は増えるのですが、それでもこの整然とした流れは同じです。


人数が増えても、ゆっくりな泳ぎ方と速い泳ぎ方の人が混在しても整然とした流れが生まれて、最大人数の選手が最大の練習をしている。


いつも夏場になるとカオスの状態になるプールの状況との違いは何なのだろうと、そんなことを考えて泳いでいます。





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