大横川親水公園から清澄駅へ向う途中に、大きくてまっすぐな川を渡ります。その橋の途中でふと東側を見たら、「あっ」と見覚えのある物がありました。
閘門です。
読み方も知らないほど馴染みのない施設ですが、 「水路をゆく」の中で紹介されていた、小名木川の扇橋閘門だとわかりました。
その日はもう夕闇が迫っていたので、次回は絶対にこの続きを歩こうと思ったのでした。
家に帰って地図をつらつらとながめていると、小名木川の両岸が歩けるようになっています。そして小名木川を東へとたどってみると、旧中川と荒川へとつながり、その河口に中川船番所資料館があります。
たしか、ブラタモリで江戸への物流の拠点としてこの番所の話がありました。
そうか、このまっすぐな大きな川が小名木川という水路だったのだとつながり、次の休日には是非歩いてみようと思ったのでした。
さて当日、小名木川のどこからスタートしようかと電車に乗った時点でもまだ決めていなかったのですが、地図をみていたら小名木川と横十間川が交差したところにクロスしてかかっている橋があり、その横に江東区スポーツ会館があるのが目に入りました。
どうやら温水プールがあるようです。
スタートはここにしようと決めて、住吉駅で降りてまずはプールへ。
いつでも泳げるように、一式を持って歩いていますからね。
その建物は古いのですが、中は日差しが入って明るく、プールの水の透明度も高くて良さそうです。
なにより、6コース全てが泳ぐ人のためのコースになっていて、連続で泳ぐコースでした。
泳ぎやすくてついつい長居をしそうになりましたが、散歩の体力を残して後にしました。
目の前にある小名木川と横十間川が交差した場所に立ってみましたが、普段、大きな川へ小さな流れが合流することは見る機会があっても、おなじぐらいの川が混じり合う風景は初めてです。
しばらく見ていましたが、水がどのように流れているのか全くわからないほど、二つの流れは静かに混じり合って、そしてそれぞれの方向へと流れていました。
運河って不思議ですね。
小名木側は両岸に遊歩道が整備されていて、滔々と流れる水のそばを歩くことができます。
周囲よりは3mぐらい低くなっています。
神田川などもこうした作りになっているので、護岸工事によってこういう作りになっているのだろうと思って歩いていたのですが、途中に、海抜と比較した標識と説明が書かれていました。
前回の記事で紹介した地盤沈下が、どうやら関係しているようです。
江東区スポーツ会館からおよそ40分ほどで、中川船番所資料館へ着きました。
目の前には旧中川が流れ、その少し向こうは荒川と中川が流れています。もう少し下流では、その旧中川が荒川に合流し、荒川と中川が並行して流れる河口にあの葛西臨海公園があります。
山からの小さな水の流れがこれだけの水量になり、多くの川や水路となって複雑に海へと流れているこのあたりを見るだけで、どうやって水を制御してきたのだろうと圧倒される思いです。
帰路は小名木川の反対側の岸を歩いて、目的のひとつ扇橋閘門を目指しました。
プールでの寄り道のため夕方になってしまい、残念ながら開閉する時間は過ぎてしまいましたが、パナマ運河などと同じような施設がこんなところにあることに感動しながらしばらく見ていました。
自分でも不思議な変化なのですが、30代とか40代のころは、せっかくの自然や風景を壊す物として、こうした建築物が水辺にあることは無粋に見えて嫌いでした。
なんでしょうか、最近は「すごい!」と心躍るのです。
気持ちは何がきっかけかはわからないけれど変化するものですね。
「散歩する」まとめはこちら。