地図で見つけた水攻めの趾と行田市の忍城を訪ねたいと思い、まだ緊急事態宣言下でしたが都内の感染者数が1000人を下回る日もで始めた9月上旬にちょっと都県境を越えました。
石田堤史跡公園は北鴻巣駅と吹上駅の中間にあり、どちらの駅からも1.5kmぐらいありそうです。
そこからさらに行田駅までは3~4kmぐらいありそうですが、地図で計画を立てる時には気持ちが大きくなっているのでついつい歩けそうもない区間だったりするので注意が必要ですね。
コミュニテイバスを途中まで利用しようかとも思いましたが、以前から是非訪ねてみたい場所があり、やはり歩いて見ることにしました。
*北鴻巣駅からの美しい遊歩道*
11時台の新宿湘南ライン快速籠原行きに乗りました。最近はすっかりグリーン車にも慣れて、駅でサクサクと指定券を購入して2階に乗り込みました。普通車のようなロングシートやボックス席ではないのでリラックスできるし、2階からは沿線の風景が違って見えるので楽しいものですね。
北鴻巣駅から歩き始めることにしたのは、駅の手前に悠々と流れる武蔵水路をいつか歩いてみようと思っていたことでした。
駅を降りると、少し上り坂になり小さな公園がありました。また少し下ると、その先に武蔵水路が流れ、対岸には赤見台近隣公園の林が見えます。小高い場所の間に水路が通っているのでしょうか。
航空写真では武蔵水路の右岸側に幹線道路が通っていたので、しばらく自動車の多い道を歩くことを覚悟していたのですが、左岸側には樹々の間をゆったりと歩ける遊歩道が続いていました。遊歩道に入ると木陰なので、涼しい風が吹いていました。
右手には水田が広がっています。少し黄緑色になり始めた稲穂が遠くまで見えます。
途中で、武蔵水路から分水した小さな用水路が水田の方へと流れ、その上を渡ることができるのも楽しいものです。
遊歩道の途中には、武蔵水路の説明もありました。
武蔵水路は利根川と荒川を結ぶ水路です。この水路の水は利根川上流のダム群に貯えられた水で、首都圏約800万人の人たちの生活用水などに使われています。
おなかを満たすことが夢だった時代、そして断水のない生活が夢だった時代が終わり、さらに玉川上水と同じように人喰い川のような水路のそばがこうして散策できるような場所に変わったのでした。
途中で「古墳公園まで3.8km」と表示があり、行田市の古墳公園までこの美しい遊歩道が整備されていることがわかりました。これなら行田まで歩くことができそうです。
なんとこの散歩は大正解だったのでしょう。
*3本の流れが交わる場所*
北鴻巣駅から1kmほどのところに新幹線の高架橋があり、そのすぐ手前にずっとみてみたかった場所があります。
元荒川と新忍川の合流する場所にさらに武蔵水路が交わり、まるで五叉路のように水色の線が描かれている場所があります。2018年に見沼代用水と武蔵水路を訪ねた後に地図で見つけました。
あの立ちすくむような水量が流れる武蔵水路をどのように交差させているのでしょうか。
遊歩道からはずれて、その川の交わる場所を目指しました。
ところがその交差している場所を通る道は歩行者は歩けませんでした。「歩道を利用する皆さまへ」という看板がありました。
この先の元荒川橋には歩道がありませんので、通行の安全のために下記の迂回路を利用してください。
普通の道路ですがひっきりなしに大型車が通っています。
ああ、無念、真上から見てみたかったのですけれど。
しかたなく迂回して、武蔵水路が元荒川への下へと入り込む場所に行きました。
轟々と音がする場所は、2本のコンクリート製の武蔵水路の水が元荒川の下へと吸い込まれるように消えていきました。ほんとこれも一世紀前からは想像もできないマジックのような場所ですね。
ちなみに住所は「川面(かわづら)」です。
そして少し先の高架橋には、東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線が通過しています。
水攻めの技術の跡を訪ねる前のわずか1kmの散歩で、楽園のような今の時代にすでに打ちのめされるような気持ちになりました。
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