米のあれこれ 9  水田の風景

4月下旬に母の面会に行った時に、その地域では水田に水が張られ田植えが行われている田んぼもありました。

水田に小さな苗がきれいに並んでいる、春の風景です。

5月中旬であれば、東北は関東近辺とは1ヶ月遅れぐらいの田植えの時期なのかなと想像していました。

 

新幹線の車窓からは、どこも田植えが終わったばかりぐらいの水田の風景が続いていました。

車窓には、山と川が作りだしたわずかの平地が次々と現れます。

小さな谷津あるいは谷戸と呼ばれるわずかに広がった場所から、少し大きな川の周囲に開けた平地まで、似ているようでそれぞれ異なる地形に整然と水田が広がり、小さな谷戸にさえも棚田が造られている風景がずっと続いていました。

地形や水源の違いが大きそうなのに、ここまで水田を造り上げたことに圧倒されます。

こちらの記事で紹介した本に書かれていた、「わが国の水利用の歴史を見る限り水田開発が中心であった」ことが実感できる風景が途切れることなく続くのでした。

 

 

ただ出発直後は案外、東北の田植えも関東とそれほど時期が変わらないような印象でした。

ところが、盛岡を過ぎたあたりから田植え前の水を張った水田が増え始め、中にはまだ代掻きだけの田んぼもありました。

 

さらに角館あたりからは、ほとんどが代掻きが終わったくらいの田んぼに変わりました。

 

30年ほど前に那須方面へ行く機会があった時、ちょうど都内は桜が終わり新緑の季節でしたが、東北道を北上するに連れて周囲の森の緑が薄くなっていくことが印象に残っていました。

これだけ季節の差があるのだと。

 

今回、北上しながら、水田の風景がグラデーションを描いて変化する様子を見ることができて大満足でした。

 

ところがその1週間ほど後に、母の面会に行く途中で見た別の地域では、ようやく田んぼに水を入れ始めるくらいの時期でした。

たしかそのあたりでは、8月の終わりから9月初めには収穫が始まっていたような記憶があります。

 

水田と一口に言っても、日本各地で本当にさまざまな時期や方法があるのですね。

小学生の頃、「東北は寒いので一期作、関西などでは温かい気候を利用して二期作が行われる」と習ったような気がするのですが、それは半世紀前の稲作だったのでした。

 

 

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