医療介入とは 103 診断名がつく

2020年4月から東京都受動喫煙防止条例が全面施行されるので、段階的にこの9月から飲食店の店頭に喫煙・禁煙の標識が義務づけられたようです。

非喫煙者にとっては、たばこの臭いを気にしないで食事ができることはありがたいですし、受動喫煙の機会も少なくなることは助かります。

思えば、10年ほど前はまだたばこの臭いに対する好き嫌いや寛容度の話になりやすかったことが、健康への影響という本質的な問題になり始めたと言えるかもしれません。

 

その条例改正に合わせて、東京サイトでも受動喫煙に関しての放送がありました。

なかなか数値にしずらい煙や臭いですが、喫煙室から漏れていないか検査する方法が紹介されていました。

従来だと「換気扇で外へ排出させる」ぐらいだったのでしょうが、それではむしろ煙や臭いを拡散させているだけであることが客観的に確認されて改善され始めたのは、ほんと、10年ひとむかしですね。

たばこが好きな方がご自身の健康へのリスクも知りつつ、ほかの人へ影響を与えずに吸える場所が増えれば、お互いの気持ちの行き違いは少なくなることでしょう。

 

受動喫煙症*

その番組の中で「受動喫煙症」についての解説がありました。

医療従事者ながら診断名ができたことを知らなかったので、ちょっと不意打ちでした。

 

Wikipedia受動喫煙症を読むと、いつこの診断名ができたのかはわからないのですが、「日本禁煙学会と禁煙推進医師歯科医師連盟受動喫煙の診断基準委員会が連盟で定めた病名である」とあり、日本禁煙学会にもその内容が公開されていました。

 

私自身も数十mぐらい離れた場所からのたばこの臭いを敏感に感じますし、たばこを吸ったばかりで電車に乗り込んできた人と同じ車内に乗り合わせると、頭痛と吐き気がして、自動車は大丈夫なのに電車で車酔いのようになります。

 

では私も「受動喫煙症」なのかというと、診断基準を読んでとまどいました。

急性受動喫煙症の症状が発生する際の確認の基準

 

1.  環境たばこ煙(ETS)、残留タバコ成分の暴露または増大後に症状が発生。

2.  環境たばこ煙(ETS)、残留タバコ成分の発生停止、除去により症状が消失する。

3.  環境たばこ煙(ETS),   残留タバコ成分がない場合には発症しない。(煙草の煙以外の特定物質による暴露がない。)

 

この3点があれば、急性受動喫煙症の可能性が高いと考えられる。なお、急性受動喫煙症と診断されるには、非喫煙者がタバコの煙を暴露した事実(主に生活環境の喫煙場所と、タバコ臭による自己申告)と、これらの症状のみでコチニン(喫煙たばこ煙(ETS)特定マーカー物質であるニコチンが体内で代謝された物質)の検出は不要である。

 

私自身が感じていた「症状」が気のせいでもなくたばこが原因だったと明確になるのはありがたいのですが、私自身の感じ方に診断名がついたことが不意打ちに感じた理由でした。

 

自己申告で受動喫煙症と診断されるという点もとまどいますが、いちばん引っかかったのが以下の箇所です。

症状の程度は匂う(我慢)、不快(耐えている)、耐え難い苦痛などであるが、職場や社会環境によってETS発生源に苦情を述べられないことがある。職場に改善を求めたり、苦情を述べる際に、受動喫煙診断症の診断書が専門家の権威ある確証と認定されて、多くの場合に有効である。

 

 

どちらかというと、私の場合には臭いの元からの「距離」と、たばこの煙の量や種類による「臭いの強さ」の程度問題のように感じていました。

これなら、距離とか量で規制が可能ではないかと思います。

 

ところが、「自己申告で受動喫煙症と診断されたものが権威として社会を変えるのに有効」というあたり、「ニセ科学問題と科学を伝えることなど」(菊池誠氏)の「ニセ科学とは言えないが危うい議論になりがちなもの」にある電磁波のことを思い出してしまいました。

 

疾患の概念とか診断名というのはどうやってつけられるのだろう。

ああそういえば未病なんて言葉もありましたね。

 

医療ってなんだろう。

 

 

「医療介入とは」まとめはこちら

たばこに関する記事のまとめはこちら