事実とは何か 66 「非常時」の情報が錯綜する

使い捨てマスクが店頭から消えたのが2月の初旬で、ちょうど1ヶ月たちましたが、マスクもアルコールも店頭にはありません。

そして2月28日ごろからなくなったトイレットペーパーやテイッシュペーパーも、政府の「不足していません」「冷静に」という呼びかけにもかかわらず、感染症予防対策には関係ないはずなのに、こちらもあいかわらず見かけませんね。

 

この1ヶ月間どのような情報が人を動かし、反対に、どのように大事な情報が隠れてしまっていたのでしょうか。

 

記憶がすでに曖昧になりつつあるので、少し私自身の記憶を振り返ってみることにしました。

 

新型コロナウイルス感染症をいつ頃、どのように把握していたか*

 

1月半ばから2月初旬まで、母が体調を崩して介護施設から一般病院へ入院していました。

通常のインフルエンザ流行に備えて面会制限が厳しく、また、マスクを持参する必要がありましたが、この時点では医療機関でも新型コロナウイルス感染症対策というわけでもありませんでいた。

例年以上にマスク売り場に立ち寄りましたが、2月初旬までは特に変化はありませんでした。

新型コロナウイルス感染症のニュースはありましたが、社会全体に、まだ対岸の火だったのでしょう。

 

新型コロナウイルス感染症に対しても情報をつかむようにしていましたが、この頃には私自身の中では、「通常のインフルエンザよりも感染力は弱いらしい」「咳エチケットと手洗いが大事」あたりの認識になりました。

 

状況が変わったとすれば、2月3日に横浜港に検疫のために入港したダイアモンド・プリンセス号の映像が刻々とテレビやネットなどで伝わるようになったあたりからでしょうか。

2月5日付の「新型コロナウイルス感染症の状況と厚生労働省の対応について」によれば、検疫中の船内に10名の陽性者がでた頃ですが、この時点でまだ国内の発生数は19名で、その半数が中国からの帰国者という状況でした。

 

この2月第1週ではまだ、厚生労働省や医師会などから医療機関あての情報はありませんでしたが、状況を把握する時期だったのだろうと思われます。

正確な日時は忘れましたが、2月半ばになって医師会から医療機関での対応についてまとめたものが届き始め、それをもとに勤務先でも対応策を一本化しました。

 

日頃はtwitterをしていないのですが、その頃に、初めて厚生労働省twitterを読んで、必要な情報がきちんと出されていることに気づきました。

 

厚生労働省の情報*

 

これを書いている3月6日時点では2月5日のtweet分までしかさかのぼれないのですが、ちょうど、そのあたりから厚生労働省の情報量も新型コロナウイルス感染症について急増していったようです。

 

2月6日の時点では、「新型コロナウイルス感染症に関するQ&A」以外に、こんな呼びかけがありました。

「ご注意ください」

新型コロナウイルス感染症予防にアルコール消毒は効果がないという情報が広がっていますが、これは誤った情報です。厚生労働省では、咳エチケットや手洗い、うがいなどと並んで「アルコール消毒」を行っていただくよう、国民の皆様にお願いしています。

それとともに、消費者庁のマスクに関する呼びかけをRTしていました。

マスクについて、厚労省経産省が関係団体に増産など安定供給への配慮について要請した他、消費者庁もデジタル・プラットフォーマー各社に対して転売目的のマスク等の購入は望ましくない旨、利用者への啓発等を要請しています。「冷静な対応をお願いします」

かなり早期に、こうした混乱の対応をされていたようです。

 

2月11日頃までは「新型コロナウイルス感染症Q&A」くらいだったのですが、12日には「妊娠中やお子様がいる保護者の方、高齢のかたやご家族へ」という情報や、国民向けのメッセージがあります。

WHOは、すべての年齢の方に、手洗いと咳エチケットを順守するなど、ウイルスから身を守るための対策をとるよう助言しています。

 

#マスクについてのお願い(啓発ポスターができました)

現在、予防用にマスクを買われている方が多いですが、感染症の疑いがある方々にご使用いただくのが何より重要ですので、国民の皆様のご理解・ご協力をお願いします。

 

それ以外にも、「エアロゾル」についての知識や検査体制などについての情報を、適宜、出しています。

また2月14日には「厚労省からのお願い」として、まず「帰国者・接触者相談センター」を窓口にするように以下の呼びかけがありました。

2009年の新型インフルエンザの際に、一部地域で特定の医療機関に外来受診が殺到し、急を要する患者の対応に時間がかかってしまった経験から、このような仕組みにしております。

 

おそらく、この時期あたりから、「心配だからすぐに検査して欲しい」「心配だから診て欲しい」という相談やクレームが増えたのだろうと推測されますが、以前の教訓が生かされていることがわかります。

 

 

*大事な情報が埋もれないために*

 

こんなに整然と情報を出していた厚生労働省ですが、残念ながらtwitterをしていない人には届かず、多くの人はテレビが情報源になってしまうのではないでしょうか。

 

自然災害だけでなく、こうした新型感染症の発生時にもあの文字スーパーで短期・中期・長期の視点がわかるような政府機関の情報を伝えてくれると良いのではないかと、1ヶ月ほどを振り返って思いました。

 

 

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