つじつまのあれこれ 21 自らの手が感染経路とならないために

たかがマスク、されどマスクに翻弄されていますが、一般社会では「マスクをすれば安心」のような印象に、我と彼の差を感じることも翻弄されることの一つです。

我と彼、それは院内感染標準予防対策が取り入れられた1990年代からの感覚の差といえるでしょうか。

 

マスクをいつ、どのタイプを、どのように「正しくつけるか」だけでなく、どの部分に触れないようにするかとか、「マスクを触った手をどうするか」そして「どのように正しく廃棄するか」まで、根拠を問いただしていくと、医療現場でマスクというのはけっこう緊張感のあるものです。

それは、マスクを触れた手が新たな感染経路となってしまうというあたりでしょうか。

 

今回のCOVID-19の予防で、手洗いの必要性が浸透して、今もまだ店頭からハンドソープ類がなくなるほどです。

 

「手からの感染」が理解されたかと思うと、今度は使い捨て手袋を常時つけることが安心のように広がっていて、おそらく一旦つけた手袋は、もっと手指消毒の頻度が少なくなることでしょう。

あの手袋で顔を触れたりしなければいいけれど、と余計なことを心配してしまいます。

 

でも、やはりなにかつじつまが合わない日常生活の場面を見て、感染症の対応を伝えることは難しいものだと感じています。

 

*ちょっとシュールな光景*

 

ほんとうはタイトルをシュールな光景にしようかと思ったのですが、フェイスシールドをつけての宴会が、たぶんまじめに、紹介されていました。

そこまでして宴会や会食をしなくてもと思いながら写真をみると、料理は個別になっているのに、アイスボックスにトングがつけてテーブルの真ん中に置かれていました。

フェイスシールドをして唾を相手に飛ばさないように会話をして、でもトングはみんなで共用する。あ〜あ、惜しい。

 

また、「次亜塩素酸ナトリウム液・次亜塩素酸水の噴霧は吸引する有害であり、効果は不確実なので行わないこと」と厚生労働省が呼びかけているにもかかわらず、入店時に噴霧したところを通るようにしたお店のことが好意的にニュースで紹介されていました。

メニューを触らなくてよいようにスマホでオーダーしたり、料理に蓋をして配膳するなどの工夫は良いと思うのですが、スタッフと客が近づかないためにと、出来上がった料理を廊下の床において行きました。

あ〜あ、惜しい。床は「不潔」なのですけれど。

 

手はすぐに細菌やウイルスが付着するので、やはり手が感染経路にならないようにすることが大事なのですが、なにをどう気をつけるのか。

 

「血液や体液が付着したものは不潔、再利用しない」という医療上の原則も、では下着などはどうか。

その考え方だと下着もすべて使い捨てにするということかと問われれば、日常生活では洗濯だけで十分ですし、医療との境界線はわからないものです。

 

日頃から「清潔と不潔」を訓練されているはずの仕事でもまだまだ悩む場面も多いので、一般社会では混乱するのも無理はないかもしれませんね。

 

 どうすれば感染を防ぐことができるのか、日頃、感覚的にとらえていてもまだまだわからないことがたくさんあると感じました。

だから、なんだかシュールと感じる防御策が話題になるのかもしれません。

 

 

 

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