緊急事態宣言が出されたあとに美容室へ行きました。
1ヶ月前とは違ってお店のドアは開放されたままにしてあり、入り口には消毒剤が置かれ、一人終わるごとに椅子などを消毒していましたし、ブラシなど共用のものは極力使わないようにされているようでした。もちろん、美容師さんもマスクをしていました。
「すごいですね。わずかの期間に、ここまで対応を徹底できるのは、美容師さんの組合とかから統一した情報や対応方法が伝達されているのですか」と尋ねたら、意外なことに何もどこからもないとのことで、自分たちでニュースとか見ながら工夫しているとおっしゃられていました。
ああ、私たち末端の看護職と同じだと思いました。
清掃や物品の消毒、動線や面会の対応など、これでよいのかどうか統一された情報を得るシステムがないので、なんとか自施設内で工夫してやりくりしている感じです。
*「人権への配慮」?*
厚生労働省のtweetで、4月21日付の「内閣府政府広報オンライン」の「人権への配慮について」という呼びかけがありました。
「人権への配慮について」
医師や看護師の皆さんがコロナウイルスの治療を支えています。
こうした皆さんの子どもの預かりを保育園が拒んだり、タクシーに乗せないといった事例が生じています。そうしたことがないよう正しい情報を入手し、冷静な行動を
たしかに、保育園やタクシーから拒否された医療従事者の話題はありました。
看護協会でも、4月15日付で「新型コロナウイルス感染症対応している看護職に対する危険手当等について」という特命担当大臣あての申し入れの中に、以下のように書かれています。
また新型コロナウイルス感染症に対応している医療機関の看護職は、「感染するから保育を拒否される」「感染するからタクシーから乗車拒否される」などの謂れのない誹謗中傷を受けています。
でも、具体的にどれくらいの医療従事者がこういう状況に遭遇したのでしょうか。
今はネットですぐに声をあげられるので、わずかの声でもまるで全体の話のように錯覚してしまうこともあるかもしれませんね。
それと、2月の初め頃にあのダイアモンド・プリンセス号から横浜市内の病院が患者さんを受け入れた時期であれば、「医師や看護師の皆さんがコロナウイルスの治療を支えています」としてこういう呼びかけでも良いかもしれません。
でもすでに市中感染が広がって、今、営業を続けているお店や物流やインフラを支えているような「家にいて感染から身を守る」ことのできない職種の人たちがいるわけで、医療従事者だけが特別ではない段階に入っているのだと思います。
*保育士さんに「正しい情報の入手」方法はあるのか*
まして、3月に小中学校が休校になっても保育園と学童は休みにならないとか、「3密」そのものの環境で子どもと接する仕事なのに休業にならないといったつじつまのあわない方針のなかで、試行錯誤してこられた保育士さんたちの緊張はいかばかりだったかと思います。
おそらく、働く人たちの子どもを守るためになんとか対応しようという社会的使命で立ち向かってこられたのだと思います。
そんな保育士さんたちの職能団体に、どれくらい政府を動かせる余力があるのでしょうか。
新しい感染症から集団感染を防ぐためのノウハウを、統一した情報を流してくれるようなシステムはあるのでしょうか。
同じケアを担う保育・介護・看護の仕事なのですから、正しい情報が入らないという混乱のなかで保育士さんを批判する方向は違うのではないかと思います。
必要なのは、生活の中でお互いに何を気をつけたら良いか統一した情報網と、それを相手に説明する能力ではないかと思います。
それを担うのが、本来は看護だったのではないでしょうか。
そして情報網が不十分な状況で、特定の業種に対して、政府機関の「人権への配慮」という言葉は強すぎるのではないかと感じました。
以前書いた保育関係の記事です。
1970年代から80年代の保育の教科書よりー乳児保育のあけぼのの時代
「事実とは何か」まとめはこちら。