散歩をする 245 ただただ海岸線を列車で行く

ぐるりと越ノ潟から射水の水田地帯を見て満足したあとは、いよいよ富山湾に沿って柏崎まで海岸沿いに列車の風景です。

昨年6月に分水を訪ねるときに、柏崎駅から越後線を利用しました。その際、隣駅の信越本線の「鯨波駅」の駅名が印象に残り、そしてずっと海岸沿いに富山まで鉄道があることに惹かれました。

 

海岸線を走る鉄道は、途中から日本海ひすいラインとあいの風とやま鉄道になっていて、第三セクターの路線のようでしたから、それで躊躇していました。

というのも、遠出の散歩では一筆書き乗車券 ができるように計画を考えるのも楽しみの一つで、それはJR線しか使えないと思いこんでいました。

ですから新幹線が開業してそれまでの在来線が第三セクター鉄道になった区間は、一筆書き乗車券にするのは難しいというトラップがあるのだと思っていたのでした。

 

勘違いに気づいたのは、8月に長野駅でしなの鉄道に乗り換えた時でした。

ここも北陸新幹線開業に伴い、信越本線から第三セクターになったようです。

長野駅ではJRの改札を出ることもなく、しなの鉄道のホームがありますし、しなの鉄道の線路を使ってJRの貨物も通過しています。

もしかすると、こういう区間を含めてJRと連続した1枚の切符にできるのかもしれない、そう思って今回の切符を購入したのでした。

これで、また鉄道の旅の醍醐味が広がりました。

 

鉄道の旅に慣れた人には初歩的な知識なのだと思いますが、少しずつ経験を積んだような達成感でした。

 

*富山から直江津へ*

 

富山駅を出て、東富山のあたりからぐんと海岸線に近い場所を走ります。

晴天に恵まれ、能登半島富山湾、そして手前の水田地帯が、息をのむような美しさで続きます。反対側には、立山連峰の山並みが、角度が変わることで姿を変えながら見えています。

川や用水路も美しく、田園地帯にある家々は新しい家も古い家もしっくりと調和していて、想像以上の風景でした。

沿線のどの地域も整然としていて、まるで外国の風景を見ているかのようです。

 

列車の待ち時間に、長い貨物列車が通過していきました。どこからどこへと運んでいるのでしょう。

 

ここからはさらに海岸線のすぐそばを走ります。

えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの概要にその様子が書かれています。

海岸沿いの断崖が続く親不知付近や、フォッサマグナ西縁部の地すべり多発地帯を通過する路線であるが、北陸本線時代の1965年から1969年にかけ段階的に行われた複線化・電化と同時に、防災対策の一環としてトンネル主体の新線へ切り替えが進んだことにより(詳細は「北陸本線#輸送改善」「頸城トンネル」を参照)、路線延長の55.8%がトンネルとなっている。このうち、頸城トンネル(11,353m)はJR以外の鉄道では最長のトンネルであり、途中に筒石駅を有する。このため、気動車での運転に当たって移管時に避難誘導設備の強化が行われている。

 

親不知子不知の難所は子どもの頃から耳にしていましたが、初めて通過します。

一瞬、トンネルから抜けた海岸線に、北陸自動車道の頑強そうな橋が海中から建っているのが見えました。

 

そしてまたトンネルを抜けると、姫川が見えてじきに糸魚川駅です。

糸魚川、黒部川、神通川といった川を見てみようと1年前に書いたのですが、しばらくして地図を見直して「糸魚川」という川はなかったと気づいたのでした。

思い込みという失敗をこうして記録しておきます。

 

この日は晴天に恵まれて、風もない穏やかな天候でしたが、糸魚川という地名を聞くと酒田と同じく風が強いことで大火になったことを思い出します。

 

再び長い長い頸城トンネルを通過すると、直江津に到着しました。

 

市振駅直江津間は1911年に開業とありますが、雪や風、川や沼地が多い地形、そしてこの急峻な海岸線という厳しい条件の中で、一世紀以上も前に鉄道が敷かれたことに改めてすごいことだと思う車窓の風景でした。

 

 

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