6月初旬、小田急線に乗りました。三島へ行くのなら東海道新幹線が早いのですが、今回はその一つ手前のJR東海道本線函南駅で下車するためです。
小田原へ向かう小田急線はちょうど通勤通学時間帯で、新宿とは反対方向なのに激混みでした。途中で座れるかと期待していましたが、伊勢原でようやく座れたのでした。沿線の人口が増えたのですね。
小田原でJR東海道本線に乗り換えましたが、途中でJR東日本からJR東海になるのでPASMOが連続して使えないというトラップがあることに熱海駅で気がつき、あわてて改札を一旦出ました。
じきに長い長い丹那トンネルに入りました。トンネル内で丹那盆地を確認しようとGPSをオンにしていましたが、途中で圏外になりました。新幹線は圏外になることはないのですけれどね。
列車がトンネルの中で下り始めることを感じると外が明るくなり、函南駅に到着しました。
少し離れたところに新丹那トンネルの出口が見え、新幹線が通過していきました。しばらく新幹線見放題です。
*函南駅*
ここで「かんなみ」と読むことに初めて気づきました。「きょくなん」だと思い込んでいたのはなぜでしょうか。いやはや、日本語は難しいですね。
長い丹那トンネルを抜けるとふと開けて、川沿いの山肌に家や畑が見えるのが函南駅の周辺です。そのさらに南側には狩野川の流れるゆったりした平野が見えて、もう一つ短いトンネルを越えると大好きな三島と狩野川の風景だといつも心がはずみ始めます。
その函南駅にいつか降りてみたいと思っていましたが、丹那盆地へのバスがここから出ていたので願いが叶いました。
大正か昭和初期のような可愛らしい駅舎の前に、「土木学会選奨土木遺産」の案内板があり、「旧熱海線鉄道施設群」として「桑原川橋梁」「丹那トンネル(函南口)」が紹介されていました。
駅のロータリーの向こう側へと渡ると街が眼下に一望でき、「新日本 歩く道紀行 100選シリーズ」という地図がありました。古くからの寺社や湧水など、狩野川の支流には訪ねてみたい場所がありますね。
*いよいよ丹那盆地へ*
地図で丹那トンネルの上の水田地帯を見つけた時には、車がなければ無理だろうと思いました。
ところが地図を拡大するとバス路線があるようです。あのホテルの窓から見えた箱根ダイヤランドへ行くようです。
10時15分、乗客4人を乗せてダイヤランド線のバスが出発しました。
高台にある駅から急な下り坂になり、狩野川の支流である冷川(ひやしがわ)沿いへと降りると、水量が多い流れが見えました。集落の中の蛇行した道を下ったり上ったりしながら県道11号線に入り、そこからは山の中のドライブという雰囲気です。
沿道に山百合が咲いているのが見え、緑深い山に真っ青な空を上っていきました。
本当にこの先に盆地があるのでしょうか。ちょっと不安になっていると、ふと目の前がひらけて高台を走る車窓の向こうに水田が見えました。
県道から脇道に入り下り坂を降りたところに、下車予定の新山バス停がありました。
いつの間にか乗客は一人になり、空のバスはヘアピンカーブのような坂道を上って見えなくなりました。
ここからもまだ水田地帯は下の方に見えます。
トンネルの上に、本当に四方を山に囲まれた盆地があったのでした。
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