3年前に材木座海岸でバーベキューの煙と匂いに驚いた後、バーベキューはそのうちに社会の中で問題になるかもしれないと思いました。
昨年は別の理由で、軒なみバーベキュー会場が閉鎖されました。
ところが「屋外のバーベキューで感染」というニュースで、今年はこんなにバーベキューが復活しているのかと驚いています。
いやはや、何がこんなに炭で焼いて食べることにヒトを惹きつけるのでしょうね。
まさかこんな形でバーベキューが「社会問題」となるとは思いませんでしたね。
*「バーベキューの落とし穴」*
半年以上も前に、「バーベキューの落とし穴、トング共有/つい大声に コロナ集団感染相次ぐ」(中國新聞、2020/09/05)という記事がありました。
バーベキューの集いが温床と疑われる新型コロナウイルスの集団感染が全国で相次いでいる。山口県では8月に参加者13人が感染する事例が発生。換気のいい屋外で感染リスクは低いと気が緩むためか、酒が入り火を囲んでいるうちについつい大声でしゃべりがち。秋のアウトドアシーズンを前に専門家は落とし穴を指導し、注意を呼び掛けている。
山口県で感染者が相次いだバーベキューは同月15、22、23日の3日間で家族や知人の31人が入れ代わり立ち代わり参加。複数回参加した人もいた。PCR検査で山陽小野田市と宇部市の10歳未満から80歳代までの男女13人が陽性だった。県健康増進課によると、各回には20人前後が参加していたという。県はバーベキューをしていたのがキャンプ場だったのかや自治体名を公表していない。
福岡県では6月に地元で活動するお笑いタレントの男性ら10人が参加したバーベキューで、男性と別の参加者の感染が確認された。東京や三重県などでも同様の報告が出ている。
◼︎リスクは低め
厚生科学審議会感染症部会臨時委員会で山口県環境保健センターの調恒明(しらべこうめい)所長は「屋内に比べ、屋外は感染リスクが圧倒的に低い」と説明、その上でバーベキューについて「屋外であっても長時間にわたって対面の近距離で会話を続けることが考えられる。しかも、お酒が入るとどうしても大声で話しがち。ほとんどの感染は飛沫(ひまつ)感染なのでリスクを高める」と強調する。
厚生労働省はウイルス対策の一つに「箸や皿を80度の熱水に10分間さらす」ことを勧める。ただ、トングなどの道具は肉をやく人が使い回し、感染の恐れがある。皿や飲み物などを手渡しにすることもリスクとなる。移動の際の車内も密になりやすく注意が必要という。
◼︎3時間以内に
山口県の場合は一度に20人前後の大人数が参加していた。調所長は「症状がない人からも感染する。感染者の中にはスーパースプレッダーといって感染させやすい人もいる。人が増えれば増えるほど、ウイルスを持った人が含まれる可能性が高くなり、確率的に感染リスクは増す」と話す。
まもなく秋の行楽シーズンに突入しバーベキューの機会も増えるとみられる。日本バーベキュー協会は8月、「withコロナ時代のバーベキューの心得10か条」を発表。大人数の参加や火の回りを取り囲むことはやめ、長くても3時間以内、決して大声を出さないよう提唱している。
半年前に書かれた記事があっても、なかなか人の失敗を生かすというのは難しいものですね。
ただ、この記事もよくよく読むと、なんだか隔靴掻痒感ですね。
「リスクは低い」という見出しをつけると、おそらく「屋外でのバーベキューはリスクが低い」と自分が信じたい方向に思い込みそうです。
「withコロナ時代のバーベキュー心得10か条」を読むと、「飲み食べ時以外はマスクを常用」が書かれています。
おそらくここを守れないことが、一番のリスクではないかと思うのですけれど。
「3時間以内」とかの問題ではなく、隣の人と2mぐらい炭火の間隔を開けて「一人鍋」ならぬ「一人バーベキュー」で唾を飛ばさないように、黙って、人と離れて食べるのであればリスクは少し下がるとは思います。
お酒も入り、火の周りで大騒ぎをするのがバーベキューだと思っている人が多い状況では難しいかもしれませんね。
静かに過ごすという発想もなさそうです。
そしてあの脂でギトギトになる口の周りですから、バーベキューで「喋る時にはマスクをつけて」はそもそも無理難題ではないかと思いますけれどね。
その辺りが、バーベキューの落とし穴かもしれませんね。
なんだか、感染拡大の原因とその対策のつじつまが合わないような話が多いですね。
リスク比較の話がすんなりと社会に広がらない理由はなんなのだろう。
そんなに難しい話ではなさそうなのに。
「自粛疲れ」というのは言い訳のような感じで、社会全体に自分が信じたいことを信じて遠回りをしているように見えるこの頃です。
「つじつまのあれこれ」まとめはこちら。
失敗とかリスクについてのまとめはこちら。