産科診療所から 19 IGR地域医療ライン

IGRいわて銀河鉄道に乗るために、盛岡駅のホームで待っていたところ、「医療〇〇」と書かれたのぼりを手にした方が、盛岡駅に到着する乗客を待っていました。

 

「〇〇」の部分を失念したのですが、二戸駅でわかりました。IGRいわて銀河鉄道のホームページに、「盛岡の病院にらくらく通院 IGR地域医療ライン」の説明がありますが、そのことだったようです。

県北地域から盛岡方面へ通院されるお客様が安心してご利用いただけるよう、サポートする総合通院サービスです。

アテンダントが電車に乗車し、お客さまをサポートします!

・列車の後方車両(全座席)を優先席としています。

・無料駐車場を設け、ご利用しやすい環境を整備しています!

・お得な「あんしん通院きっぷ」を発売しています!

 

ちなみに最北の金田一温泉駅から盛岡駅までは片道2420円ですが、この往復割引を利用すると2日間利用可能で3200円になり、また二人用だと二人で5300円だそうです。

ああ、すごく安くなると思ったのですが、よくよく考えたら、列車を利用した一回にこれだけの通院費がかかること自体が生活費への大きな負担になりますね。

 

それでも1980年代の国鉄からJRへ変化した頃の状況を思い出すと、鉄道と医療が結びつく日が来るなんて考えたこともありませんでした。

ここ数年あちこちの鉄道に乗るようになりましたが、これは初めてで、画期的だと印象に残りました。

 

 

*「IGR HUG(ハグ) PASS」*

 

遠出から戻ってちょうど1ヶ月、「妊婦を支援半額乗車券」というニュースがありました。

 IGRいわて銀河鉄道盛岡市)と県交通(局)は12月から妊婦が通常運賃の半額で購入できる企画乗車券「IGR HUG(ハグ)PASS」の販売を始める。分娩を取り扱う医療機関が少ない沿線自治体の妊婦を交通面で支援するのが狙い。

 対象は母子健康手帳の交付を受けてから出産するまでの妊婦。パス1枚につき、IGRの各駅から盛岡駅の間と県交通バスの盛岡駅から運賃160円区間が計5日間、乗り放題になる。発売額は盛岡駅に一番近い青山駅で1900円、最も遠い目時駅で1万2900円。

 沿線自治体に住む妊婦から「県北地域は出産できる病院が少なくて困っている」との声を受けたIGRが企画した。同社の担当者は「一人で車を運転して病院にいく妊婦も多い。体調に合わせて電車やバスも選んでほしい」と話している。

 IGRの小繋(こつなぎ)駅、斗米以外の各駅で購入でき、母子健康手帳の定時が必要。有効期間は購入から1年間。

 

「県北地域は出産できる病院が少なくて困っている」

いつも遠出をする時には、その地域の周産期医療をイメージしながら歩いているのですが、確かに計画の段階でほとんど分娩施設が沿線になかった印象です。

 

あらためて地図を見直してみました。

まず盛岡市内に岩手医科大付属病院があり、ここに岩手県総合周産期母子医療センターがあるようです。ドクターヘリも整備されているようです。

JR山田線の上盛岡駅のそばに岩手県立中央病院があり「30週以降の新生児管理」のできる周産期センターがありました。

 

IRGいわて銀河鉄道に沿って北へと地図を見ていくと、二戸に産婦人科医院がありますが分娩施設ではないようです。

結局、県境までいくつかの総合病院がありましたが、産科どころか婦人科さえ診療科にありませんでした。

県境を越えて青い森鉄道の沿線から八戸まで見ていくと、八戸市に八戸赤十字病院がありますが、新生児の異常は岩手医科大NICUへ搬送と書かれていました。

 

みなさん、どのような生活をされ、どのように出産をされているのでしょう。

本当に知らないことばかりです。

 

1960~70年代、岩手県内ではまだまだ無介助分娩が多かった地域もあった時代から、産科診療所や病院など医師がいる場所での出産になり、そして今度は集約化で分娩する場所が今までの時代には考えられないほど遠方になりました。

 

「死亡率の改善という努力の代償はあまりにも過酷すぎた」を書かれた産科医の先生は八戸の方でした。

 

 

 

これからの周産期医療はどこへ向かうのでしょう

 

 

 

*2022年1月3日追記*

 

二戸には県立二戸病院があり周産期センターのようです。こちらの記事に書きました。

 

 

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