散歩をする 385 万葉まほろば線で車窓から溜池と水田を眺める

地図で溜池を探して訪ねた大池の風景にしばし我を忘れたのは、いにしえのひとも同じだったようです。

西の京大池から薬師寺若草山への眺望(奈良)

万葉集にも詠われた大池の広大な水面の先に、薬師寺東西の塔、遠方には若草山など東部の山並みを望むことができる。奈良盆地の代表的な眺望として写真や絵画を通じて広く知られている。(以下、略)

公益社団法人日本造園学会サイトより)

 

大池の近くの奥柳バス停までもまた少し上り坂でした。ここまで18300歩。炎天下の中の散歩でしたが、水上池から平城宮跡と、まるで夢か幻の中を歩いているような気分でした。

 

15時50分のバスに乗り16時35分に奈良駅に到着しました。まだこれからもう少し歩く予定でしたが、乗る予定だった電車はわずかの差で間に合いませんでした。

 

やはり歩き疲れていましたし18時半には日没ですから、計画変更して17時7分の電車で途中下車せずに車窓の風景を眺めることにしました。

 

 

万葉まほろば線に乗る*

 

2年前に大和川のそばを歩いた時に、大阪から大和路線に乗りました。なんてすてきな名前の路線なのだろうとときめきましたが、奈良にはもう一つ「万葉まほろば線」があることをこの時に知りました。

いつか乗ってみたい。地図をたどっては、その風景を想像していました。

 

17時7分万葉まほろば線王寺行きに乗りました。新しい車体でロングシートでした。ちょうど帰宅時間で混雑していたこともあって、また最後尾に立ちました。

高架橋から奈良市内を一望するように列車が走り始めると次の駅が京終(きょうばて)駅で、読めないけれどなんとなくいにしえの街の境目のようなイメージですね。いつか歩いてみたいものです。

東側の山の方から緩やかな斜面にしだいに水田や水路が増え、時々小さな川が山の方から盆地の方へと流れています。ところどころ溜池も見えます。

夏の夕陽に稲穂が照らされて、ほんとうに美しい風景です。

ふと、雰囲気が変わったと思ったら天理市に入りました。天理教の大きな寺院や宿泊施設が見え、そしてまた先ほどまでの水田と水路の風景になり、古墳がある表示も見えます。

しだいに山の端が近づいたと思ったら、三輪駅に到着しました。本当はここで下車して大和川中流を歩こうという計画でした。

 

三輪駅を過ぎて大和川を渡ると、桜井駅の手前から線路は西へと大きく向きを変え、車窓の風景は奈良盆地の南側になりました。

ぽつりぽつりと小さな三角の山が見え、昔習った「大和三山」という言葉を思い出していると香久山駅畝傍駅と過ぎました。「もう一つの山はなんだったっけ」と車窓の向こうに広がる水田地帯を眺めているうちに高田駅に到着。

 

また北へと向きを変え、水田や古くからの住宅の風景が続き、山の合間のような場所を通過してなつかしい王寺駅に到着しました。

今夜は大和川のそばに宿泊します。

 

万葉まほろば線

 

まほろば」という言葉も日本史か古文で習ったのか、意味は忘れましたが知っていました。

Wikipediaによると「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味だそうで、記憶の中のニュアンスとは少し違いました。

 

万葉まほろば線という路線名も聞いたことがなかったのですが、正式には桜井線1893年には開業した古い路線のようです。

2009年11月時点では路線愛称はなく、旅客案内上でも正式路線名がそのまま使用されていたが、2010年に「平成遷都1300年祭」や、「奈良デスティネーションキャンペーン」といったイベントが開催されることから、より親しみをもってもらえるように愛称名を公募していた。

選考の結果、沿線に日本最古の歌集である「万葉集」に多く詠まれた名所・旧跡が点在していること、「まほろば」は奈良を連想させる言葉として全国的に広く浸透しており、沿線のイメージと重なることから「万葉まほろば線」に決定した。愛称は2010年3月13日のダイヤ改正から使用されている。

 

たしかに乗ってみたいと思いましたからね。

ただ私の場合は地図で見つけた水路や溜池からですけれど。

 

奈良を連想させる言葉「まほろば」は、人ぞれぞれの理想郷のようなものかもしれませんね。

 

 

 

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