散歩をする 519 白米寺から鍵遺跡へ水路沿いに歩く

大和川の堤防が近づき、近鉄線の向こうに竹林が見えました。いよいよ前回の散歩で見つけた白米寺へ向かいます。

 

 

*白米寺*

 

車窓から見えた竹林のあたりが「白米寺」だと思っていたのですが、それは民家の庭だったようでその向かいに倉敷を思い出すような古い家があり、その間の路地を曲がると小さな公園と神社の境内がありました。

 

境内の一角に大きな木があって、そばに薄黄色の壁に灰色の屋根の小さな建物がありました。

「飛行山 白米寺」と朱色の額が掲げられています。

白米蜜寺

白米蜜寺はもと初瀬川右岸の高堂八幡神社付近にあり、遺物は分散し仏像はこの収蔵庫に納められています。木造阿弥陀如来像(重文)は143.5センチ、寄木造りで彫りの浅い平安後期の様式です。木造地蔵菩薩立像(重文)は、像高61センチ一本造りで円頂、彫眼、彩色の立像で翻波式衣文があり平安中期の作風がうかがえる貴重なものです。木造不動明立像(県重文)は像高51.5センチ、寄木造りで彩色が施され鎌倉時代に製作されたものです。

   1993(平成5)年4月 川西町教育委員会

 

もう一つ案内板がありました。

旧白米寺の諸佛

 白米寺は川西町下永東方の高堂の八幡神社の神宮寺であったと伝えられ、京奈和自動車道の事前発掘調査で、永東方遺跡から奈良時代後期の軒平瓦や平安時代の丸瓦・平瓦が出土している事や、旧白米寺の平安時代の諸佛から、この場所に古代寺院の存在が推定される。

 白米寺について、享保9年(1724)の「御領郷鑑」に記載はなく、それ以前に廃寺になり、現在の八幡神社の場所に白米寺が移された。現在の収蔵庫の場所が「阿弥陀堂」跡で、神社参道東側に「地蔵堂」がある。昭和38年(1963)に、収蔵庫が建築され、阿弥陀堂阿弥陀如来像・不動明王立像や地蔵堂地蔵菩薩像の他に、鎌倉時代勢至菩薩立像や江戸時代の地蔵菩薩立像・弘法大師坐像2体等が安置されている。他に、川西町下永西城の西方寺に平安時代後期の毘沙門天立像が、旧白米寺の旧佛と伝えられている。

 

「白米寺」はすでになく、「白米寺収蔵庫」というのは仏像の収蔵庫のことだったようです。

 

お米に関する何かがあるのだろうかと想像していたのですが、全く見当違いでした。それにしても大和川のすぐそばにあるというのに、「飛行山」とはどんな由来があるのでしょう。検索してもまったく分かりませんでした。

 

 

*水路沿いに鍵遺跡へ*

 

ここから大和川の堤防の上を歩いて法貴寺地区のあたりまで歩き、そこから西へ曲がって鍵遺跡を訪ねる計画でしたが、初夏のような暑さの中いつの間にか1万7千歩ほど歩いていたので疲れました。計画を変更して大和川沿いはあきらめ、近道を歩くことにしました。

 

国道24号線の一本西側の道が、ゆるやかに蛇行して田園地帯を通り、しかも用水路がありそうです。

惹かれるままに曲がってみました。

 

瓦屋根の美しい住宅地を過ぎると、目の前がパッとひらけて一面の水田地帯です。遠くに四方の山並みも見えます。

のどかな春の道を歩くと、緩やかに曲がるところに大きな木が見えてきました。水路のそばに古いお社があり、大きな「日露戦戦没記念碑」がありました。

石のベンチがあるので休憩させてもらいました。木陰の風そして水路の水音、穏やかな気持ちになるような場所でした。

 

元気になってまた水路沿いを歩き、レンゲの花で薄桃色になっている田んぼのそばにどっしりとした家々が美しい集落の間を抜けると、広い敷地の唐古・鍵遺跡がありました。

ようこそ2,000年前のムラへ

 今から2,000年前、この地には約42万㎡(甲子園球場10個分)の面積を誇る、日本最大級のムラがありました。ムラにはたたみ50畳分の面積がある建物が建っていて、日本各地から人の交流があり、物産が運ばれてくるような、拠点的なムラだったことがわかっています。この公園では、弥生の風景を現代によみがえらせました。あなたも弥生時代を体験してください。

 

少し歩いただけで平安時代だとか弥生時代だとかの説明文に出会うのですから、ほんと、かないませんね。

 

ここを訪ねてみたかったのは、地図に水色の池のような場所と水路が描かれていたからでしたが、その理由が書かれていました。

ムラを守る周濠

 ムラの周りには、環濠が何重にも掘られていました。その中でも内側の最も大きい環濠を大環濠と呼んでいます。幅7~8m、深さ1.5~2mの溝が、南北530m、東西400mの範囲を巡っていました。この環濠は、洪水からムラを守り、また、運河としても利用されていました。

 

なんとここも環濠集落だったようです。

「洪水からムラを守り」といことは、大和川の氾濫でしょうか。

この周濠の水はどこから得ていたのだろうと気になりましたが、残念ながら資料館は休館日でした。

 

この公園の中心にある大きな池と東側の環濠も見てみたかったのですが、4月中旬の急に初夏の陽気になる頃で、ここから最寄りの近鉄橿原線石見駅にたどり着くだけの体力を考えてあきらめました。

 

奈良は案外と歩ける距離だと思ってついつい計画を欲張ってしまいますね。

 

 

 

 

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