液状乳児用ミルクについての小まとめ

1ヶ月以上前に書いた必要な答えは乳児用ミルクではないかを、最近たくさんの方が読んでくださったりはてなのブックマークやスターをつけてくださったようです。ありがとうございます。
防災の日にちなんで、どこかで紹介されたのでしょうか?


私が液状乳児用ミルクについて書き始めたのは、食品安全情報ブログの畝山智香子先生から、「北米から日本が導入してほしいもののひとつがすぐに飲ませられる調乳済み液状ミルクです」というコメントをいただいたことがきっかけでした。


それで、こんな記事を書きました。

「液状乳児用ミルクの普及を望んでいます」2012年5月13日


「災害時の液状乳児用ミルクについて考えたこと」2012年5月19日
こちらでは、ほ乳ビンの消毒ができない被災地で「紙コップを使って3割をこぼしながら」授乳されている様子から、使い捨てほ乳ビンを送る活動をされた方々の思いを紹介しました。


「完全母乳という言葉を問い直す29 <災害時の完全母乳『戦略』>2012年6月13日
こちらでは、フィンランドから調乳済みミルクを送る活動をされている方々の話を紹介しました。


「完全母乳という言葉を問い直す30 <災害時の母乳代用品の監視行動>2012年6月14日
こちらでは、実際に調乳済みミルクや使い捨てほ乳ビンを使った被災地の方々の感想を紹介しました。

その後、あの東日本大震災から2年たって、被災地の分娩施設の様子がまとめられたものを読むことができました。
でも相変わらず周産期関係者の中から、被災した施設からも液状乳児用ミルクの声がないことについてこちらこちらの記事に書きました。


災害時にとても便利であり、実際に感染予防の観点からも合理的と思われる液状乳児用ミルクを導入しようとする声も動きもほとんど伝わってこないのはなぜだろう、と思って書いたのが「必要な答えは液状乳児用ミルクではないか」でした。


<なぜ声も動きも少ないのか>


1.液状乳児用ミルクの存在が日本では知られていない


これがまず理由として大きいのではないかと思います。
日本でどれくらいの人が知っているのか調査したことがあるのかどうかはわからないので、あくまでも推測ですが。
産科で長いこと働いてきた私でさえ、あの東日本大震災までは乳児用のミルクは粉ミルク以外には思いつきませんでした。
海外で調乳済みのミルクを見た経験がある人たちは、まだまだ少数でしょう。


2.牛乳は生鮮食料品というイメージがある


これも推測でしかないのですが、日本乳業協会の「牛乳容器の移り変わり」を見ると、牛乳が明治時代に販売されるようになってから、ブリキ缶、ガラス瓶、そして1956年に紙容器が販売されても、基本的には冷蔵管理が必要な製品として流通しています。


常温保存可能なLL、ロングライフ製品が販売されたのは1985年のようです。


乳幼児用については同協会の「人工栄養の歴史」によれば、最初は1871(明治4)年に加糖練乳ですが、その後は衛生面や栄養の理由から粉乳になっていきます。


私もたまにLL製品の牛乳を購入することがありますが、売り場をみてもLLの牛乳はわずかです。
子どもや成人の牛乳にもLL製品が広がらない社会の中では、乳児用のLL製品の需要は今までなかったのかもしれません。



もちろん、他にも液状乳児用ミルクについて声も動きも少ない理由はあると思います。


乳児に安全なミルクとは何なのでしょうか?
正直なところ、あまり私自身が深く考えたことがありませんでした。
というわけで、しばらく実生活の中から感じたミルクの安全性で感じたことやその歴史をぼちぼちと書いてみようと思います。



「液状乳児用ミルク関連のまとめ」はこちら