「鉄が泳ぐ」と書くと、何故鉄のかたまりが浮くのかという話に思われるかもしれません。
今日は「鉄の女」、カテインカ・ホッスー選手の話です。
10月25日26日の2日間、辰巳国際水泳場でFINA競泳ワールドカップ2016東京大会が開催されました。
私がこのワールドカップを観戦し始めた年の記憶が曖昧ですが、2012年の大会以降、毎年その時に感じたことを書きました。
競泳ワールドカップ2012
FINA競泳ワールドカップ2013
FINAワールドカップ東京大会がなくなってしまうのが残念
言葉で表現するのは難しい
2014年にはこの大会が開かれなくなるというニュースがあってやきもきしていましたが、無事に継続して開催され続けて何よりです。
日本で海外のトップ選手の泳ぎを間近で見られる数少ない大会です。
今年も、リオオリンピックで活躍された選手やこれからが楽しみな選手が国内外から多数参加しての熱戦でした。
ジャマイカのアトキンソン選手が、50m平泳ぎで世界新記録を出した泳ぎを目の前で見ることができたのも、こういう国際大会の醍醐味です。
<鉄の女のしなやかな泳ぎ>
カテインカ・ホッスー選手は、今年もなんと11種目に出場して8種目で優勝というタフさをみせてくれました。
もちろんその試合そのものも楽しみにしていたのですが、開会2時間前からずっと彼女の試合中の調整の様子を見ることができることも楽しみにしていました。
プールサイドで念入りに柔軟体操などをして試合直前のアップをし、一試合が終わると次の試合のためのアップをしたり表彰式に出たり、本当に休む間もないような忙しさです。
しかも午前中に同じ数だけの予選で泳いでいるのですから、さぞかし疲れているのではないかと思うのですが、集中したその1本の泳ぎが見事に抵抗のないしなやかな泳ぎになるところが本当にすごい選手です。
カテインカ・ホッスー選手の泳ぎは、アップの時でもプール内にたくさんいる選手の中でもすぐにわかるのですが、何がどう他の選手と違うのか、言葉にできないのがもどかしいです。
筋肉そのものの体で、一見、ガシガシと泳いでいるのに重く見えないのです。
フワッフワッと水の中をうねりながら、まるで歩いているか空を飛んでいるように水の抵抗を感じさせないまま、ひと掻きごとに相手との距離をあけていきます。
あ〜もう、本当にほれぼれします。
2012年に初めてホッスー選手が来日した時には会場を沸かせましたが、表彰台ではニコリともしないクールな印象でした。
「鉄の女」と呼ばれるのもそんなところにあるのかなと思っていたのですが、Wikipediaの説明を読むと、その頃は引退も考えていたほどの時期だったようです。
来日するたびに表彰台での笑顔が増えて、今回の大会では笑顔で会場に手を振っていました。
彼女は本当に強い意志を持つ「鉄の女」であり、今のところ、世界でもっともしなやかに泳げる女性ではないかと思います。
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