縁の下の力持ちと適材適所

年末に観た「さまあ〜ずの神ギ問」で、競馬のスターターに密着した内容がありました。
馬が好きな父の影響で馬を見るのは好きですが、賭け事は絶対にダメというこれも父の影響で、競馬には全く関心がありませんでした。


ところが、その番組で競馬のスターターの仕事を少し垣間みて、何でもひとつの仕事と言うのは奥が深いものだと思いました。
価格.com」というサイトのテレビ紹介情報に、その内容がまとめられていました。

9月25日、中山競馬場でスターターの業務に密着。朝8時半、白いジャケットにネクタイ、白いハット。衣装はスターターだけに認められる勝負服。1レースに携わるスターターは基本4人。1人は前方のゴンドラに登り扉を開く。旗は馬の枠入り開始とファンファーレの合図で他の3人のスターターは馬のスムーズな枠入りを促すこと。発走態勢が整ったら、リモコンで準備完了の合図をする。赤く灯るランプを確認したら前方のスターターが扉を開く。ランプを確認し扉を開けるタイミングは目視で最終判断するため扉を開ける瞬間は緊張するという。扉を開けたらスターターは次のレースの準備に取り掛かる。G1レースで旗を振れるのは13人のスターターの中でも経験を積んだベテランのみだった。

そのスターターがレースのない日は何をしているのか、というのがギ問。

競馬のレース前に旗を振っている人は競馬がない日は何をしているの?暇なの?という疑問の答え。答えを知るために美浦トレーニングセンターを訪れスターターの富岡昭人さんに話を聞いた。競馬で走る馬は審査に合格しないと競馬で走れないルールがあり、仕事の1つとして審査を実施して合否を判定する。この審査「発走調教審査」という。スターターは獣医師や競馬学校の教官など馬の特性を熟知し扱いに慣れた人のみで、JRA職員の中から適任とされた人が人事異動で配属される。JRAの職員1600人の中でスターターは13人。仕事を見せてもらうためにスターターに密着。月、火が休日、水、木、金はトレーニングセンターで業務。土日は競馬場に出張。


今までニュースで競馬のスタートの映像を見たことはあるけれど、表層的なことしか目に入っていませんでした。


<競泳会場の適材適所>


その番組を観ていて、思い出していたのが競泳大会でのスターターや競技役員のことです。


10年以上前に初めて競泳大会を観に行った中で、それまでスポーツ観戦とは無縁だった私の印象に残ったのが、開会式前に「競技役員入場」があって拍手で迎えることと、審判長と出発合図員が紹介されてやはり拍手で称えること、そして競技が終わると「競技役員退場」があって拍手で送ることでした。
競泳会場のこんな雰囲気がいいなと思いました。


テレビの映像では活躍している選手や泳ぎしか目に入っていなかったのですが、会場で直接観戦することで、「運営」まで視野が広がりました。


それでも冒頭の番組を観て、スターターになる動機や適性そして訓練など、「競泳のスターターについてほとんど何も知らない」ことに気づきました。


検索しても詳細がわからなかったのですが、日本水泳連盟が2014年に出した「競泳競技規則 競技役員(競泳)の手引き」が公開されていました。


「出発合図員」について以下のように書かれています。

(1) 審判長から競技開始の合図を受けて、競技者を公正に出発させるまで、競技者を完全に掌握する。
(2) 競技者が故意に出発の準備を遅らせたり、スタートの際の不行跡に対して指示に従わなかった場合は、審判長に報告する。ただし、そのような行為に対する失格の決定は審判長が行う。
(3) 審判長の決定を得ることを条件として、出発が公正に行われたかを判定する。
(4) 競技を開始するときはプールのスタート側からおよそ5m以内に位置し、時計員が出発の信号合図を観て聞くことができ、競技者が完全に信号音を聞くことができるようにする。


審判長や出発合図員以外に、機械審判、召集員、折返監察主任、折返監察員、泳法審判員、計時主任、計時員、着順審判主任、着順審判員、記録員、通告員といったたくさんの職務があるのですね。
会場で見かける方々は、それぞれ人生の中でどのようなきっかけがあってその仕事にたどり着いたのでしょうか。
そしてそこに書かれている数行の責任を果たすために、どれだけの訓練をされているのでしょう。



毎回、粛々と競技が行われていて、私自身は競技開始のトラブルを見たことはないのですが、選手たちだけでなく、こうした競技役員の方達もまた経験を積み達人になっていくのかもしれません。



最近、社会というのは適材適所で熟練して行く人たちでうまくまわっているのだなと、しみじみ感じることが多くなりました。