記録のあれこれ 8 <ファラジの給水時間>

TBSの「世界遺産」で「オマーンの水利システム」が放送されるとのことで、録画しておきました。
オマーンといえば、大好きないんげんの端境期に日本向けに輸出している国であり、「おまえの村に水はあるか?」が挨拶になっている砂漠の国だと、つい最近になって身近に感じた国です。


どうやってあの砂漠の国で輸出向けの農産物を生産するほどの水を確保しているのだろうと、その後も気になっていたのでした。


それがファラジという水利システムでした。


番組で紹介されていたファラジは、オーマンのグランドキャニオンと呼ばれる山岳地域に降る年間わずか100mmの雨が地下水となって溜められているものを利用するAiniでした。
砂漠の中の岩肌しかない山のその地下に水があることをどうやって見つけたのでしょうか。
番組では2000年以上前から、このファラジが開発されていたと説明されていました。
地下18mの地下水を掘り当て、横に手掘りでトンネルを掘り進み村へと水を引く。
気が遠くなる話でした。


そのトンネルから水が初めて地上に出た部分では、共同の飲み水を汲む場所になっているようです。
そして流れはモスクへと続き、そこでウドウーのために使われます。
さらに村の中で、洗濯や食器を洗うための流れとなり、最後にはナツメヤシの畑と流されます。


一本の水流が上水道から下水道までの機能を負っていることは、現代の日本では考えられませんが、「東京地形散歩」の「東京に残っていた自然の川」の写真を見ると、わずか60〜80年ほど前の都内でも一本の川が同じように使われていたことが想像できます。


<「給水時間を秒タイムまで記録する」>


その番組で印象に残ったのが、水長(みずおさ)と呼ばれる人が見せた記録ノートでした。


水長とは、個人のナツメヤシの畑に平等に水が供給されるように責任を負っている人のようです。
水路を見回って、ところどころにある堰の石などの位置を変えて、それぞれの農地へと水が流れるように見回る役目のようです。
その時に、時計を観て「秒単位」まで給水時間を記録しているというのです。


そしてそれを次に水長に付く人のために保存し、水利システムが維持されるように引き継いでいくのだそうです。


淡々と数字が並んでいるだけのノートですが、見てみたいと思いました。





「記録のあれこれ」まとめはこちら