食べるということ 40 枝豆とカレー

北上川を見に行った時、水田だけでなく大豆が植えられている場所があちこちに見えました。

大豆にするのか枝豆にするのかはわかりませんが、「あ〜、枝豆を食べたい」と思いながら眺めていました。

そして30数年前に出会った、アメリカ人の友人のことを思い出しました。

 

今日のタイトル、「枝豆を使ったカレー」ではなくて、「枝豆とカレーが好きだった人」のことです。

 

彼女と出会ったのは1980年代半ば、東南アジアにある難民キャンプで働いていたときの最初に出会ったインターンの大学生でした。

彼女は主に首都の事務所で働いていたので会うのは月に1〜2回でしたが、英語もたどたどしかった私にことのほか親切にしてくれて、年も近かったのですぐに仲がよくなりました。

ピアスを開けてくれたのが彼女で、mooseのぬいぐるみをプレゼントしてくれたのも彼女でした。

そうそう、アメリカの大使館関係者などしか入れなかった施設にも彼女のゲストとして入ったり、たくさんの経験をさせてくれた人でした。

 

彼女は難民キャンプで働く前に、半年ほど日本に留学していたこともあって、私に親近感を持ってくれたようです。

 

彼女は「日本のカレーが大好き!」と、時々、遠い目をして懐かしがっていました。

ちょうどその頃日本では本格的なカレーが広がり始めていたので、私にすれば小麦粉でドロドロにしてカサ増ししたようなインスタントカレーは「本物のカレーではない」と思い始めていた頃でした。

ところが彼女がハマったのはそのインスタントカレーの方で、「いくつもルーを買って帰国した」というのです。

 

そして彼女にとって幻の日本の食べ物は枝豆だそうで、「It's  yummy!」とまた遠い目をするのでした。

カレールーは買って帰れたけれど、枝豆は難しいですからね。

 

枝豆とカレー。

必ず彼女を思い出す食べ物です。

そして、好きな食べ物から国境を越えてどんな人の心にもすんなり入っていく彼女が、私が初めて仲良くなった外国人だったことは、本当に幸運だったと思うこの頃です。

今はどこでどんな人生を送っているのでしょうか。

 

 

「食べるということ」まとめはこちら