10年ひとむかし 58 身元を保証する契約

十数年ほど前でしょうか、賃貸住宅の契約で「身元保証人が不要」という物件をよく見かけるようになったのは。

それまでは、必ず家族や親戚などの身元保証人が必要でした。

 

現在の家を借りる時に、ためしに身元保証会社と契約してみました。

2年毎の更新時期にこの保証会社にも支払うのですが、2年間で1万円ほどですから、「だれかに保証してもらうことを頼む」精神的な負担から解放されました。

 

女性がひとりで家を借りることさえ大変だった1980年代からの変化と、男女あるいは独身・家族向けに関係なくこの保証人不要の物件が増えたことは、賃貸住宅では大きな変化だったかもしれませんね。

 

身元保証とはなんだろう*

 

身元保証とは何か、考えているようで考えてこなかったので検索してみたら、真っ先に雇用契約での身元保証人が目につきました。

通常、雇用契約に付随して行われ、雇い主が被用者のために受けるかもしれない損害を雇用契約の当事者以外の物(身元保証人)が担保する契約。被用者の債務不履行不法行為などにより生ずる損害賠償債務を保証する場合と、被用者に故意過失がなくてもその一身から生じる一切の損害(被用者の病気による雇い主の損害など)を担保する場合とに区別することができる。前者は保証であるから、被用者自身について賠償債務の成立することが必要であるが、後者についてはその必要がなく、したがって一種の損害担保契約であり、身元引受とも言われる。一般には後者である場合が多いが、この場合には特に被担保債務が無限に広がる可能性が大きく、身元保証人にとっては危険である。判例では、身元保証人の地位には相続性がないとし、その責任を限定する。身元保証人の責任をより一層合理的な範囲に限定するためにたされた立法が身元保証ニ関スル法律である。

コトバンク、ブリタニカ国際大百科事典)

 

読んでみてもわかるようなわからないような、法律関係は難しいですね。

そういえば、私自身は雇用契約の時に身元保証人を問われた記憶がありません。一般には就職時に身元保証人が求められるのですね。

 

身元保証と個人の証明*

 

世の中にはたくさん保険があって、公的な社会保険だけでなく民間の保険類もたしかに困った時には助かることでしょう。

 

ただ、父が亡くなった時にその生命保険類の本人の死後に、父が生まれたことを証明する手続きがけっこう大変だったので、そういう形で残された家族や身内に負担をかけてお金を渡すこともためらいがでてきました。

あるいは、母の本籍地は現在は更地になった、しかも他人名義の土地になってしまいましたから、そもそも「自分を証明する」ということはどういうことなのでしょうか。

 

なんとなく漠然と家族や身内がなんとかしてくれるという制度の中で、自分のことは自分でする ということは義務ではなくて権利だということが見えにくいのかもしれません。

 

マイナンバーカードに期待したのは、自分であることの証明と、社会保険や預金などにリンクして自分で契約を行えることだったのですけれど、まだまだ日本の社会全体がそれを求めていないのかもしれませんね。

生まれた時から新生児に個人番号が与えられて、その新生児本人に対して児童手当が自動的に与えられる制度との発想の違いはどこから生まれるのか不思議です。

 

生まれたからには老病死という誰もが避けて通れないことの身元保証に関する契約が、これからどんな風に変化するでしょうか。

 

 

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