行間を読む 166  「印鑑」がその人を証明するのか

印鑑証明が必要な場面という私の人生の中では全く違う世界があることを知ったのが4年ほど前ですが、あわてて登録したのはそれまで銀行印として使用していたちょっと見た目が立派な印鑑でした。

 

ところが印鑑証明とはなんだろうと改めて検索してみると、世の中では「実印」と「銀行印」はどうやら違うらしく今更ながらに印鑑についてよく知らなかったと冷や汗が出ています。

 

頼みの綱のWikipediaにも「実印」の説明はなくて、検索すると印鑑メーカーの説明しかないのですが、実印が必要なのは「自動車を購入、売却、廃車するとき」「不動産登記するとき」「住宅ローンを組むとき」「遺産相続するとき」「保険金を受け取るとき」などだそうで、残りの私の人生にはもう関係がなさそうです。

 

 

*印章と印鑑*

 

Wikipedia印鑑登録を読むと、へ〜っとまた知らないことが出てきました。

印鑑登録とは、印鑑(登録された印章)により個人および法人を証明する(本人が当該印章を相異なく所有すると証明する)制度である。

 

日本で印章全般のことを俗に印鑑と呼ぶのは、この印鑑登録の制度が語源である。印鑑とは本来、印章の印影が登録されたデーターベース(登録簿)の側を指し(詳細は「印章」を参照)、「印鑑に印鑑を登録する」のような用法で用いることは、厳密には日本語の誤用であるが、俗語として広く浸透している用法でもあるため、本項では以下、印章の意味でも「印鑑」の語を用いる。

(強調は引用者による)

 

たしかに「印章」と言われても伝わらないですね。

 

 

*「現行印鑑登録制度成立の背景」*

 

印鑑(印章)は近世以降、日本の一般庶民の間でも商業・権利契約の際に広く使用されるようになっていたが、登録制度による公的な裏付けが開始されたのは1871年明治4年)の太政官布告第456号「諸品売買取引心得方定書」によるものが最初である。市町村制施行以前であったことから、各地の有力者である「身元町村指配の庄屋或は年寄共方」に印鑑帳を置き、これに住民の印鑑(印章)を押捺して保管する形式を採った。

 

その後自治事務になり、1950年代以降は車の所有が増え始めて業務が増大し「全国で統一して運用される印鑑登録法の制定」を求める声が高まったこと、1960年代の複写機の進歩による方法が変化したこと、そして現在も国ではなく自治体の業務であることなど時代の変化が書かれていました。

 

いつ頃だったか、役所の窓口で書類と印鑑の台帳を照らし合わせるのに二つの書類をバサバサと何度も確認して「印影を対比し、同一の印影と認める」作業をしている風景を見た記憶があります。

「本人を証明する」確認作業もほんとアナログの時代でしたね。

 

いくらコンピューターにそのデーターが入力されて一見進歩したようでも、印鑑がその人の証明になるという制度そのものがIT化になじまないのではないかと思えてきました。

 

それにしても1960年代ごろはまだ日本でも読み書きができない世代の方々がいたのですから、印鑑にしてもサインにしても文字で自分を証明するというのは、歴史の中ではごくごく最近の驚異的な変化なのかもしれませんね。

 

「自分を証明する」

どのような状況にあっても確実に証明できる方法はできるのでしょうか。

 

 

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