存在する 23 就業者数と潜在者数

感染症指定病院や保健センターの方々の過酷な労働状況や、陽性者が出て何人ものスタッフが自宅待機になっている施設の状況を想像すると、余裕のあるスタッフ数というのはどのように考えたらよいのだろうかと考えても、管理的な業務にはほとんど携わっていない私には見当もつきません。

 

そんな中で「防衛省 感染者が出ても任務遂行できる態勢維持へ」(NHK NEWS WEB、2020年4月2日)のニュースは目から鱗でした。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて防衛省は、省内で感染者が出ても任務を行える態勢を維持する必要があるとして、東京 市ヶ谷で勤務する人員を部署ごとに2つ以上のチームに分けて、交代で勤務させる取り組みを始めました。

 

新型コロナウイルスの感染拡大を受け防衛省は、省内で感染者が出た場合に備え、勤務のあり方を見直す通達を出しました。

 

それによりますと省内で感染者が出た場合、濃厚接触者は自宅待機をしなければならないことなどを考慮すると、業務継続が困難になる可能性がある一方「防衛省自衛隊では、いかなる状況にあっても任務を遂行できる体制を維持する必要がある」としています。

 

そのうえで、東京 市ヶ谷の本省や自衛隊の幕僚監部などでは、部署ごとに職員や自衛官を2つのチームに分けたうえで、それぞれが接触しないよう1日起きに出勤と自宅勤務にしたり、早出と遅出にしたりするなどの措置を取るよう求めています。

 

防衛省では、職員や自衛官 どうしが接触する機会を一層減らすとして、感染拡大の防止に務めたいとしています。

 

あのダイアモンドプリンセス号の対応でも、隊舎に戻れば大人数の集団生活であるにも関わらず、自衛官の皆さんには感染者が出なかったこともすごいことだと思いました。

 

「職員や自衛官どうしが接触する機会を減らし、2チームにする」

どちらかに感染者が出ても、全体で休業しなくても済むようにする。そして十分に休息を取れるようにする。

常に非常時に向き合っている方々は、何か根本的に発想が違うのかもしれません。

 

*人員に余力を持たせるには*

 

今、勤務先で一人でも本人が陽性とか、家族に陽性あるいは濃厚感染者と接触した人が出ると、どれだけの人数で回さなければいけなくなるのだろうと、考えたくないまま時間がすぎています。

 

地域の医療機関を見ても、系列病院がある場合は少なくて、どこからか手伝いに来てくれる可能性はまずなさそうです。戦国時代の群雄割拠という感じ。

それぞれの施設が自由に病院を設立して診療していることにもメリットもあるのだと思いますが、こういう非常時には横のつながりがほとんど無くなりそうですね。

 

今、大変な状況で頑張っていてくださる感染症指定病院や院内感染に対応している施設に、人員を回せるシステムを夢想しています。

そうしたら2週間頑張って、2週間は休むとか、共倒れを防げるのではないかと。

壮大な理想ですから無理だと思っていましたが、防衛省のニュースをみていつかは医療機関でも実現できるのではないかという気がしてきました。

 

*実際の就業者数は少ない可能性*

 

ただ、問題は、例えば看護職の実際の就業者も統計よりはもう少し少ない可能性があるのではないかと、日頃少し疑問に思っていたことを少し整理してみたくなり、今日のテーマになりました。

 

厚生労働省の「看護職員の現状と推移」(平成26年(2014))という公開されている資料を見てみると、「就業者数約154万人」それに対して「潜在看護職員約71万人」と書かれています。

 

「潜在看護職員」はどのように計算するかというと、「免許保持者数から64才以下の就業者数を減じたもの」と説明されていました。

 

「就業者数」は必ずしも「一人の免許を持った人」の数ではなく、延べ人数ではないかと思います。どのようにこうした数字を出すかというと、保健所に提出する就業者名簿をもとにしているのではないかと推測しているのですが、実際はどうなのでしょうか。

であるとすれば、医療従事者にも非正規雇用の働き方が増えてきたあたりから複数の施設で働いている人が含まれていることになるので、実際の就業者数は少ない可能性がありますね。

「副業」の是非の話は脇におくことにします。

 

実際に臨床で働いている人なら、短期間のオリエンテーションで他施設への手伝いも可能なことも多いことでしょう。

もちろん、専門分化している現状で、看護師の資格があるのだからできるでしょということはやめた方が良いと思います。

 

日頃から余裕のある人員を確保し、そしてその分野での実践力を持つ人を臨床で多く育てておくこと。

人を減らし、人件費を減らすことが良いとされたここ30年ほどの結果が、いま出ているのだと思いますね。

 

人員を確保することは災害に強い国になるための備えかもしれないと、夢想している話でした。

 

 

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