10年ひとむかし 67 映像を見ながら会話する

テレビ電話での会議という話題があっても私には無縁の世界でしたが、4月に入るとテレビスタジオに人が集まらないようにテレビ電話での映像が増えました。

最近ではだいぶ見慣れたのですが、電話が怖い私にとっては、それをしなくてよい職業でよかったと心底思ったのでした。

 

電話で話すだけでも苦手で、用件だけ伝えて早く切りたいのにずっと相手と表情を見ながら話し続けるなんて、考えただけでも疲労感に打ち砕かれそうになりました。

 

ところが、新型コロナウイルス感染症で面会が制限されたことで、「施設に入所している人や終末期の患者さんと家族がテレビ電話で面会」といった話題がちらほらと出てきて、その場合は必要なこともあるかもしれないけれど、テレビ電話導入に関しては美談だけにしないで慎重にしてほしいなと思っています。

 

*通信システムの劇的な変化*

 

そういえばテレビ電話なんてもう古い言葉なのかとWikipediaをみたら、まだ現役の言葉のようですね。

 

「テレビ電話が初めて、人々の前に現れたのは1970年に開催された大阪万博」だそうで、夢の超特急といい、当時は驚異的に変化する時代に入り始めていたのですね。

それでもまだ庶民の電話は黒の固定電話で、「3分10円(当時の10円は高かった)」「夜8時以降は電話をかけてはいけない」といった時代でした。

 

1990年代から携帯、インターネットへとさらに劇的に変化し、直接会話しなくてもメールでやりとりできることは助かりました。

メールだったら相手も都合の良い時間に返信してくれればよいのですが、数年前に出たLINEは「既読」かどうかわかるようで、居留守も使えないシステムなのに世の中に広がったことに驚いたのでした。

ゆっくり考えて後で返信しにくく、すぐに返信を求められ、延々と会話が続くような方法を求める人もいるのですね。

 

*テレビ電話*

 

ところで、周囲ではほとんど使っている人を見ることがなかったテレビ電話ですが、2000年代に入ると色々と開発されていたのですね。

ただ「テレビ電話機の専用サービスはスマートフォンのように普及はしなかった」と書かれています。

アプリが入っているのは知っていたのですが、常にオフにしていました。

 

Wikipediaに、「テレビ電話自体の文化的・心理的・環境的な問題」に「プライバシーやセキュリテイに関する問題」がまとめられていました。

・相手の顔を見ながら話すので、時と場合によっては緊張してしまう。見知らぬ相手や、突然掛かってきた場合には特にそうである(この場合、いきなりテレビ電話の画像表示をさせるのではなく、ユーザに選択させるようなユーザインターフェイスが重要であり、一部端末ではそのような機能を実装している)。

・特に女性の場合は、相手がある程度以上に親しい間柄でもない限り、自宅ですっぴん顔で画面に出ることに抵抗がある。テレビ電話の映像性能の高品質化により、この傾向に拍車がかかる。「キャラ電」はこのような事情への対策機能と言えるが、テレビ電話の存在意義からいっそ本末転倒という意見もある。

・背景として周囲の様子も一緒に映るため、自宅で汚い部屋の場合はみっともない、オフィスであれば機密情報が映る怖れがある、外だと居場所がわかってしまう、と言った問題がある。

・その結果、相手がテレビ電話をとれる状態にあるか、かける側はわからないため、いきなりテレビ電話を使ってかけることは通常躊躇され、よって実際の利用率が低迷することに繋がる。

 

すっぴんも部屋の背景も構わないし、守らなければいけない機密もないけれど、まとめた用件以外の長い会話を相手の顔を見続けながらすることから逃れられないことへ、恐怖感を感じています。

今までの電話なら、受話器で会話しながら、別のこともできたのですけれど。

 

テレビ電話の普及は、限定的にしてほしいものです。

いやはや、こんな電話の悩みというか不安が出てくる時代になるとは。

 

 

 

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