代替療法とは何か 7 ガイドラインに代替療法について書かれるようになった

周産期三学会合同ガイドラインを読んで、10年ひとむかしだなあとちょっと鳥肌がたちました。

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応(第四版)」の「産科的管理」では、妊婦さんの感染に対しては「仮に感染が判明しても大部分は軽症であり薬物療法の適応はありません」として、さらに以下のように書かれていました。

有効の可能性のある薬剤は妊婦禁忌であり、特効薬はありません。妊娠中の高熱はサイトカイン血症により胎児に影響をきたす可能性がありますので、適切な補液や解熱剤の投与は有効と考えられています。但し、イブプロフェン投与で重症化するとする報告がありますので極力NSAIDsは避けて、アセトアミノフェンなどの他の薬品をご考慮ください。漢方薬については中国から、明らかな抗ウイルス活性はないものの、症状を緩和するには有効との報告があります。免疫力増強をうたうサプリメントや様々な民間療法、子宮温熱、ホメオパシーアロマセラピー、ビタミン剤大量点滴等には何の効果もありません。妊婦の治療にあたる専門家としての矜持を持ち、エビデンスに基づいた医学的適応で処方をお願いいたします。

 

10年前にホメオパシーの問題を考えていた頃は、「途方もなく希釈しても効果がある」と信じている熱烈な人たちから、「補完療法」「全人的」といった言葉で「効果はなくても意味がある」と代替療法を取り入れることをやんわりと支持する人たちまで、まだまだ混沌としていた印象でした。

 

ようやく「効果はない」「効果はわかっていない」が区別される時代になってきた、と感無量ですね。

 

ただ、新しい疾患が出るとこぞって「これが効果がある」と広げようとする人が必ず出てくるのだと、今回も見えてきました。

臨床試験も経ずに、新たな検査や治療法の広告塔に取り込まれていく人が。

 

かたやそういう人を胡散臭いと感じる人たちが増えていることに、気づかない人たちもまだまだいるのですね。拙速に理論化する人の方がすごいと思ってしまう人たちが。

そして、どんなに過去に優れた業績があった人でも、信頼を失っていることに気づかない。

 

 

今回の周産期三学会のガイドラインに、この部分が書き込まれたことは、本当に信頼に値するリスクマネージメントだと思いました。

まあ、魔女の世界を内包していますからね。

 

 

 

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