つじつまのあれこれ 22 はしごをはずす

連日、東京都のCOVID-19の新たな感染者数が40名から50名という状況で、この数字をどう判断したらよいのか、非日常から日常へ戻りつつあったのにこのままでよいのか、でも都からも「アラーム」はないしとニュースを追っているなか、「コロナ対策の専門家会議を廃止」(2020年6月24日、KYODO)が目に入り愕然としました。

西村経済再生担当相は24日の記者会見で、政府の新型コロナウイルス対策の専門家会議を廃止すると明らかにした。新たな組織に衣替えする方針。

 

「衣替え」なんて不正確な表現ではなく、経緯と内容をきちんと知りたいと検索しても他に見つかりません。

 

その直後に、TBS NEWSでこんな報道がありました。

 「専門家会議」が会見、政府との役割分担の明確化を

 

新型コロナウイルス対策を話し合う政府の専門家会議の座長らが、感染の第2波に備え、政府と専門家の役割分担を明確にするよう求めました。

政府に医学的な立場で感染症対策を助言する「専門家会議」は、今年2月に設けられ、政府の了承を得たうえで、感染状況や対策などの見解や提言を示してきました。

24日の会見で脇田座長は、これまで専門家会議が直接、市民に行動変容を呼びかけたことなどで「本来の役割以上の期待と疑義の両方が生じた」として、第2波に備えて、政府が専門家の提言を取り入れるかどうか決定し、政策を実行することを明確に示すよう求めました。

「専門家助言組織の役割、政府と専門家助言組織の関係性について、明確にする必要があります」(専門家会議 脇田隆宇座長)

また今後の専門家会議の在り方として、危機対応にあたるコミュニケーションの専門家を活用するなど、情報発信の体制の見直しを早急に行うよう政府に提案しました。(24日17:41)

 

このニュースでは「廃止」というニュアンスではないと安堵したところ、専門家会議の方々にはなにも知らされずに、ほぼ同じタイミングで「新たな組織に衣替え」が発表されたらしいことも伝わってきました。

 

こういうことを「はしごをはずす」というのではないかと、過去のざまざまな医療ニュースが思い出されてしまいました。

 

専門家会議の「次なる波に備えた専門家助言組織のあり方について」(2020年6月24日)は、今までの専門家会議の活動がまとめられ、そして「中期・長期視点」で今後について書かれていました。

永久保存版にしようとコピーしました。

この内容こそが、あの90年代以降、大きく医療が変化してきたことの方向性が間違っていなかった証だと私には読めたからです。

 

 

ところが、誰も経験したことのない未曾有の感染症拡大に矢面に立ってこれまで最善の方法を示そうとしてくださった方々に、国会では罵声や非難の声が飛び、会議も突然廃止される可能性が出たり、まさに現代の「出エジプト記」ですね。

旧態依然の政治の問題解決方法が、とても古臭く見えてしまいました。

つじつまがあっていないからだろうと思います。

 

急性期のような時期を乗り越えた今、これからの中期・長期の視点から対応するためには、現在の医学的な専門家会議の方々を中心に経済や教育などのいろいろな分野の人を取り込んで、より生活に即した対応策を築いていく。

そうなるものだと思っていたのですけれど、廃止という選択はあり得ない判断だと感じました。

 

こうしたつじつまの合わなさは、どこかで政治への不信感をもたらす。

それが政治家の方々のリスクマネージメントの常識になるのはいつでしょうね。政治ってなんなのだろう。

 

 

 

 

「つじつまのあれこれ」まとめはこちら

新型コロナウイルス関連の記事のまとめはこちら