散歩をする 280 八王子霊園

昨年末から都立霊園のことが気になりだしてあちこちを訪ね、残すは八王子霊園です。

冬の八王子方面は寒そうでしたし、春になったら訪ねてみようと思っていました。

 

3月20日春分の日に訪ねました。

2連休でお彼岸しかも翌日は雨の予報でしたし、3月21日で緊急事態宣言も解除になるタイミングですから混雑するかもしれないと思いましたが、まあ、広大な墓地ですからね。

ふだんはこうした人出の多いタイミングを避けるのですが、八王子霊園の周辺はちょっと人気(ひとけ)が少なそうですから、歩くのに怖くないかもしれないなどあれこれと想像して決めました。

 

高尾駅に到着したら臨時バスがあるようで、長い列がすぐにバスに吸い込まれていました。

今まで高尾駅は中央線で通過するだけでしたが、駅構内や駅北口周辺のお店がたくさんお花を扱っていて、みなさんここで花を購入して乗り込んでいます。

小平霊園のようにお花を扱う石材店が並んでいる方が、もしかしたらめずらしいのかもしれません。

 

どんな墓地なのだろう、地図でイメージしていた場所へバスで向かいます。

 

武蔵野陵墓地*

 

八王子霊園がどのあたりにあるのか、今まで全く知りませんでした。高尾駅が最も近いというのもなんだか不思議な気持ちでした。

 

そして地図をよくよく見ると、雑木林だと思っていた高尾駅のそばの山が武蔵陵墓地でした。

ニュースで見る風景から、もっとひっそりと奥まった場所かと思っていたのですが、駅のそばでした。

もともと大正天皇が埋葬されていた場所だそうで、この地が選ばれた理由をWikipediaで初めて知りました。

横山村の地が選ばれた理由は、地震を考慮して地盤が強いこと、万葉集に「多麻の横山 」と詠まれたことなどによる。また墳丘の形式などは明治天皇伏見桃山陵が参考にされた。敷地内には数戸の農家や東照時や長泉寺などの寺社、民間墓所などがあり、交渉をして移転が行われた。こうして武蔵陵墓地および多摩陵が始まった。

 

「地盤が強いこと」、1923年(大正12)の関東大震災での経験からでしょうか。

 

バスは、武蔵陵墓地のすぐそばの坂道をぐんと登って行きました。

その敷地が終わった場所には、アパートが建ち並んでいました。

 

*八王子霊園と東京霊園*

 

坂道を登りきったあたりの「霊園正面」というバス停で、ほとんどの人が降りました。

降りると、反対側の東京霊園へ向かう人、八王子霊園の正門へ向かう人、東門へ向かう人と3つの流れができました。

 

バス停の右側にも大きな霊園があります。最初はここも都立霊園だと思ったのですが、東京霊園の公式サイトをみると、「50年の歴史を刻む、格式ある緑豊かな高級公園墓地」とありました。

 

八王子霊園は道路を挟んで二手に作られているようで、東門へと向かいました。

山を切り通した道の向こうに、山の地形を生かしたようななだらかな芝生が続き、芝生に直接墓石が並んでいました。

他の都立霊園のような区画の区切りがないことに、最初はなんだか違和感を感じたのですが、お彼岸で墓参にきた方々が、その芝生に椅子を置いて静かに墓石に向かっていたり、芝生の上でお昼ご飯を食べていたり、広々と自由な雰囲気でした。

「4月1日で、開園50年になります」という園内放送がありました。東京霊園と同じ時期に造られたようです。

国立公園や都立の自然公園の峰続きにあり、都立霊園の中で最も新しい公園墓地です。昭和46年に開設しました。64ヘクタールの面積を有し、その高低差は100メートルにも及びます。丘陵地の自然林に囲まれた起伏に富んだ地形を生かして造成された墓域のすべてが芝生墓所となっています。四季を通じて小鳥のさえずりが聞こえる広々とした雰囲気の霊園で、遠くに新宿の高層ビルを望む丘もあります。

(「TOKYO霊園さんぽ」) 

 

園内のソメイヨシノや山桜がちらほらと咲き、その根元にはタチツボスミレが咲いていました。

 

行く前に航空写真で確認した時には、だだっ広い場所に墓石が整然と並んでいる様子がなんだか団地のように見えました。

他の霊園だと、それぞれの区画に個性豊かに植物が植えられていたり霊園の敷地自体が林のようだったりするので、ちょっと味気ないかなという印象でしたが、実際に歩いて見ると芝生墓地は開放感がありました。そしてどこもよく手入れされていました。

 

そして、他の都立霊園のような名誉霊域といった差がなく、皆同じで平等という雰囲気も面白いですが、墓地が集まったこの地域で見ると、武蔵陵墓地、東京霊園、そして庶民の墓地という位置付けに見えます。

「庶民の」と言っても、使用料は「1,196,000万円」だそうですが。

 

やっぱり私は粉骨遺骨の樹林型合葬埋蔵施設がいいかな、そんなことを考えながら八王子霊園をあとにしました。

 

 

 

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