水のあれこれ 166 浅川の支流を訪ねる

八王子霊園を訪ねたあとは、高尾駅とは反対方向へと歩きました。

目指すのは、北浅川の支流である山入川沿いです。

 

以前、JR八王子駅から京王八王子駅まで歩いた時に、途中で急にがくんと道が下がる場所がありました。すでに散歩を始めていた時期で、「浅川の河岸段丘に違いない」とぴんときました。

多摩川右岸になると私の頭の中の地図は怪しくなるのですが、浅川の名前は1990年代初めの頃から知っていました。

ただ、散歩でも歩いた区間もありましたが、いまだにどこをどう流れているのかはあやふやなままです。

 

今回、八王子霊園周辺を地図で眺めていたら、たとえは悪いのですがまるで小さな川が末梢の小静脈のように分岐しているのをみて、その複雑そうな地形をみてみたいと思いました。

そしてその源流はどこなのだろうと、それぞれの小さな流れを追っていくうちに、北浅川の支流の山入川に目が止まりました。ちょうど「霊園正面」を通過し、美山町へと向かうバス路線が山入川のそばを走るようです。

 

どんな街と山や川の風景があるのだろう。

航空写真で見ると、日原川上流の採掘場のような場所も見えます。

東京に半世紀以上生きてきたのに、ほんと、狭い範囲の人の暮らししか知らないものです。

どんな風景と歴史があるのか、訪ねてみたくなりました。

 

 

*北浅川へ*

 

八王子霊園を出て、北へと緩やかな下り坂を歩き始めるとじきに小さな川があります。

この周辺はその名も「川町」で、何川なのかわからないのですが、小さな川に沿って民家とお寺と墓地がありました。

対岸はぐんと上り坂になり、その途中に「タウン入り口」バス停があって、90年代ごろの開発でしょうか、住宅地が広がっていました。

 

整然と並んだ住宅のそばにトンネルがあり、山の反対側へと出ました。

ちょっと息を飲むような予想を超えた街があり、川へと下り坂になっていました。

美山通りという都道だそうで、その両側に大きな欅の街路樹が植えられています。欅の根元付近には別の低木の街路樹と黄色い鮮やかな水仙の花が植えられていて、手入れが行き届いていました。

その通りを中心にして、落ち着いた街が広がっています。

もっとも低い場所に大きな橋がかかり、それが北浅川でした。

その先で美山通りと陣馬街道が交差しています。

 

周囲は丘陵のような低い山に囲まれ、桜やコブシが咲き、家々の庭にも春の花が咲き始めていました。

バス停には、次々と高尾駅行きや八王子駅行きのバスが来ていて、乗る人もけっこういました。

八王子霊園の向こうは人気のない場所が広がっているのかと思っていたら、全く違った風景でした。

 

お彼岸の臨時バスダイヤと周辺の渋滞のために、予定していたバスがなかなか来なかったので、この日は山入川沿いを訪ねるのはあきらめて陣馬街道をバスで八王子へ戻ることにしました。

 

今回、地図をじっくり眺めて、浅川は中流で北浅川と南浅川、そしてもう一本名前がわからない川が合流していることを知りました。

それぞれの川沿いをいつかバスで訪ねてみよう。新たな計画ができました。

都内の川の8割ぐらいは上流から下流まで流れをたどったなんて豪語するのは、まだまだ早そうです。

 

 

 

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