散歩をする 395  戸塚安行から草加まで歩く

鴨川の千貫樋(せんがんぴ)の歴史をたどると、やはりまた伊奈忠次と伊奈忠治の荒川下流の治水や新田開発につながりました。

 

昨年秋に訪ねた新井宿が見沼代用水西縁のそばであることを知り、見沼代用水が綾瀬川を越えたあと、西縁と東縁に分かれる場所を歩きました。

以来、この東縁と西縁の二つの用水路に挟まれた地域を歩いてみようと、いくつか計画ができました。

 

新井宿に行った際、埼玉スタジアム線に乗ったのですが、新井宿のあたりでぐいと曲がります。埼玉スタジアム線は地下鉄なので、地上はどんな景色なのだろうと気になっていました。

戸塚安行という地名から、何か歴史がありそうです。

 

地図では戸塚安行の東側は、見沼代用水によって開墾された地域のようにも見えます。

まだ訪ねていない安行の氷川神社を目指し、そこから草加の氷川通りを歩き草加氷川神社を訪ねる。大まかな計画で出かけてみました。

 

戸塚安行駅から氷川神社へ*

 

4月中旬、午後2時過ぎに戸塚安行駅に到着しました。地上はどんな場所だろうと期待して出ると、さっそく大きな水路が西側から流れています。少し高台なのに、どこからくる水でしょうか。

帰宅して地図を追うと、武蔵野線東川口駅東浦和間に大きな溜池と川口自然公園が見えるのですが、そこから分水された水でした。ということは見沼代用水西縁の水でしょうか。

 

この辺りは、芝川のあたりまで首都圏近郊緑地保全法による区域であることが書かれていました。

本当に緑が多い場所です。その名も「花山下」交差点から東に向かい、東京外環自動車道の下をくぐると雑木林になりました。初夏の香りがする緩やかな上り坂を歩くと安行氷川公園があり、その先に最初の目的地の安行氷川神社がありました。

周囲は造園業の敷地に囲まれているので、木々が美しく、幻想的な場所でした。

 

雑木林のような中を歩くと、花と緑の振興センターの横に出ました。植物の販売もしているようです。

そこから東へと歩きましたが、この辺りも造園業が盛んなようで森なのか敷地なのか、木や草花がずっと続く道でした。

ところどころに筍や野菜などの無人販売があったり、庭先におしゃれなカフェがあったり、草花を求めて散策しているのでしょうか、結構な人とすれ違いました。

ニワトリの鳴き声が聞こえたり、美味しそうなお蕎麦屋さんがあったり、散歩の序盤なのにもうここでやめてもいいかなという誘惑に駆られそうでした。

 

安行小学校の校庭の横から左へ曲がると結構なくだり坂になりながら、右手は安行原自然公園で広々と雑木林が保存されていました。

その途中の小高い場所にある九重神社に立ち寄ってみると、期せずしてそこも氷川神社でした。

 

先ほどの吉場安行東京線は、尾根筋を通る道路だったようです。

 

*かつての水田地帯を草加まで歩く*

 

九重神社から下り坂を降りると、水門と用水路がありました。先ほどまでの鬱蒼とした森が残る尾根筋とは違い、昔は広々とした水田地帯だったのだろうと思われる水路があちこちに残る住宅街を歩くと、忽然と暗渠になった先にまるで森の中にあるような民家がありました。

よくみると、小川のように水路が民家のそばを通っています。

古くからの農家でしょうか。敷地の中に水が流れている羨ましい場所でした。

 

そこを過ぎるとまた住宅地になり、大きな道路に出ました。

その先に、西側から流れて新郷東部公園のあたりから大きな流れになる川があります。

今回はその川に沿って草加へと向かいました。

 

橋の欄干に水田を耕す人の姿を描いた銅板の絵が飾ってあり、「寄贈 新郷東部地区治水事業推進協議会」と書かれていました。

途中から東へ曲がり暗渠に沿って小さな道を歩いていくと、広大な変電所の施設がありました。

どこまでもどこまでも平らな場所です。

 

日光街道を越え、氷川通りを道なりに歩いて「水道庁舎(南)」という交差点を曲がると、以前から気になっていた草加駅前の氷川町に出ました。

この辺りも暗渠になった水路が住宅街や駅前のそこかしこにあり、草加神社の前には水が流れていました。

 

今回の散歩は、見沼代用水東縁が潤したであろう地域を歩くことが目的でした。

Wikipedia「見沼代用水と干拓前の見沼溜井」の図にある東縁と西縁の水路がくっきりと分かれているイメージでしたが、実際には尾根筋のように見える場所に西縁から東縁に向かって水路が網羅されているらしいことが少しわかりました。

 

現代の地図だと、かつての見沼代用水がどこを流れているのかなかなか分かりにくいものです。

実際に歩いてみるしかないですね。

そして歩けば歩くほど、またわからないことが増えてきました。

見沼代用水を知るには、残りの人生をかけても時間が足りなさそうです。

 

 

 

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