生活のあれこれ 22 「内閣総理大臣公邸」に住むかどうか

最近、「首相公邸」を耳にする機会が増えて、2018年にその近くを散歩したことを思い出しています。

 

国会庭園にある日本水準原点を見に行った時に、そばを通りました。高い壁に囲まれた首相官邸と公邸の敷地の南側は首都高速都心環状線都道412号が国会議事堂の方へと上り坂になっています。

心臓破りの坂と言ってもいいくらいで、溜池山王の窪地から這い上がっていくような地形です。

 

その帰り道は国会議事堂の裏から官邸の北側の道を通り溜池山王駅のそばまで歩きました。官庁のビル街だと思っていたら険しい下り坂を降りて衆議院第二会館を過ぎたところに普通の民家が並んでいたのでちょっと驚きました。「永田町2丁目」は住宅地でした。

 

官邸の高い壁は来るものを寄せ付けないような威厳がありましたが、崖の下にあるので高速道路からは丸見えかもしれないし、南・西・北側には銀座線・南北線・千代田線・丸の内線が地下を通っていて案外と「街中にある建物」なのだという印象でした。

 

 

*官邸と公邸*

 

「官邸」というとニュースで首相が朝左手から登場して記者の前を過ぎていく風景ぐらいしか思い浮かばないほど、ほとんど知りませんでした。

まして官邸と公邸についてもよく知らないままでした。

 

首相官邸ホームページがあって、「首相公邸(旧官邸)」に説明がありました。

総理が執務をする「官邸」に対して、総理の日常生活を行う住まいを「公邸」と呼んでいます。

現在の公邸は、昭和4(1929)年に竣工された旧官邸を曳家・改修したもので、平成17年(2005年)より公邸として使用されています。主要部分は鉄筋コンクリート2階建て、本館延べ面積は約1568坪。

 

そういえば犬養首相はどこで暗殺されたのかWikipediaの「犬養毅」を読み返しました。

1932年(昭和7年)5月15日は晴れた日曜日だった。犬養は総理公邸でくつろいでいた。

 

竣工後3年ほどのまだ真新しい公邸で、時の首相が暗殺されたのでした。

 

「内閣総理大臣公邸」の「歴史」によるとその後、斉藤實・岡田啓介首相がその公邸に住んだものの、二・二六事件で再び流血事件が起きました。

旧公邸は、二・二六事件で陸軍反乱兵によって掻き乱され、住居としては使い物にならないほどまでに荒らされてしまった。そこでこれを復旧するのは諦めて官邸の事務所に転用し、翌年には官邸南庭に木造二階建ての仮公邸を新築した。この家屋は外観が日本式そのものだったので「日本家」と呼ばれた。

 

以降、戦後もしばらく歴代首相は公邸に住むことはなく、32年ぶりに公邸に住むようになったのが佐藤栄作首相だったようです。

一方、旧公邸の方はその後も引き続き官邸事務所として使われていたが、60年安保でデモ隊が官邸を包囲して岸信介がカンヅメにされるという事態が起こると、官邸に隣接した居住施設の必要性が改めて浮き彫りにされた。そこで1963年(昭和38年)から旧公邸に大規模な改修を施す工事が始まり、その完成を待って1968年(昭和43年)には佐藤栄作二・二六事件以来実に32年ぶりの公邸の主としてここに移り住んだ。

 

 

*旧官邸と現公邸の関係*

 

現在の公邸は、犬養首相の時代に官邸だった建物を2005年に移動して2005年(平成17年)から利用され始めたとのことです。

 

となると、五・一五事件二・二六事件が起こった旧公邸は現存していないということでしょうか。

Wikipediaの「内閣総理大臣公邸」を読むと、混乱しました。

現公邸となった旧首相官邸は、1932年(昭和7年)の五・一五事件や1936年(昭和11年)の二・二六事件といった旧日本軍のクーデターの舞台となり、現職首相の犬養毅や首相秘書官の松尾伝蔵など数人が殺害されている。

犬養毅首相の暗殺は公邸だったのか、官邸だったのか。それとも当時は両方を兼ねていたのか。

 

それにしても首相というのは公邸に移って生活をしているものだと思っていたのですが、Wikipediaの年表を見るとそうでもないようでした。

そして2013年に「幽霊に関する閣議決定」が出ていたとは。官邸や公邸というのはなかなか魑魅魍魎が住んでいそうですね。

このところの政治家の皆さんの様子を見ていると、官邸や公邸の魑魅魍魎というのは裸の王様のような状況に陥っていくことかもしれませんね。

 

歴代の首相がどこでどんな生活しているか、案外知らずにきました。

どんな思いで首相官邸の中へと入っていくのでしょう。そして公邸での生活というのは外の風景がどんなふうに見えるのでしょうか。 

 

 

*おまけ*

犬養毅首相の葬儀は、公邸内で行われたことも初めて知りました。

 

 

 

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