数年前にはまだ一部のお店だったセミセルフレジでしたが、近所のいくつかのスーパーではほぼ当たり前の光景になりました。
店員さんが入力して、お客が機械で自分で支払うという方法です。
「機械化は高齢者に残酷」というわけでもなく、みやすいタッチパネルなので特にそれほど大きな混乱もなく、なじみの店のいつもの機械であればみなさんどの世代の方も慣れていくようです。
ところが、そのなじみのスーパーがある日突然、セルフレジを導入して有人レジを1列にしてしまいました。8割ぐらいがセルフレジです。
他のお店でもすでに導入しているところもありますし、私も駅構内のコンビニなどで商品数が少ない時には利用することもあります。
ところが日常の買い物をするスーパーで一気にセルフレジにしたことに、なんだか釈然としないものがあってちょっとモヤモヤしています。
「高齢者は機械に慣れない」というわけではなく、午前中の高齢者の多い時間帯でもみなさん自分でレジをする光景にほどなくして変化しました。
*なににモヤモヤしているのだろう*
ただ、いきなりセルフレジになった時に私はちょうど夜勤明けで疲労困憊して買い物をしたのですが、「なぜレジ打ちという仕事まで私がするのだろう」という疑問が大きくなったのでした。
レジという仕事も経験を積みながら新人から達人までいらっしゃることが見えてきて、ただレジを打つだけでなくさまざまなトラブルにも対応されています。
仕事でも数多くの医療機器が導入されていますが、必ずマニュアルがあり慣れるまで何度か読みながら対応しています。
ところがセルフレジの使い方やトラブル時の対応方法など、店頭には全く説明がないのにいきなり使え、慣れろというのもすごいですね。
そして店員さんの姿がごっそりといなくなってしまいました。
セルフレジ導入であのベテランの店員さん達はどこへ行ったのだろうと検索すると、「バックヤードの仕事に配置転換させられて、時給も減った」という意見もありました。
パートの方々は賃金が上がると130万円の壁があるし、たとえ一人当たり50万円の助成金を一時的に出したとしても雇用する側は「機械の方が長期的に見れば安上がり」で、テイのいい人員削減に大きく動いたのではないかと思いましたが、事実はいかに。
レジという仕事で経験を積んできたことも無視され、働きたいのに「人手不足」にされてしまっているのではないかと心配ですね。
*トラブルの対応も客側にさせる*
スーパーでレジが止まってしまう原因に、野菜などの値段を読み込めないとか割引商品など値段の付け方が複雑ということがあります。
先日も、ようやく慣れてきた男性のレジ係の方が値段が読み込めなくて商品の棚まで確認に行って戻ってくると、お客さんが「もういいから、それいらないから早くして」と怒鳴りつけていました。
セルフレジでバーコードを読み込めないとか入力の仕方が別とか、それは私が覚える仕事ではないはずなのにセルフレジでは客側に転化されるのですよね。
こちらも疲労困憊で買い物をしているのに、さらに緊張しながら入力の仕事をする。
それはないよなと。
仕事の責任の境界線があいまいになるのに、「機械を使いこなせないと思われたくない」とレジ係の仕事までさせられていることに気づかない仕組みという感じですかね。
なんでも「デジタル」の世の中の風潮ですからね。
そして検索するとやはり万引きとか故意にではなくても未入力とかいろいろとあるようで、「李下に冠を正さず」で買い物の時には疑われないよう注意をしてきたのに、罪まで犯す可能性が高くなるのですからなんだかなあですね。
*それぞれの仕事への敬意を忘れないようにしたい*
そのあたりがモヤモヤの理由かもしれないと、少し頭の中が整理されてきました。
一つか二つぐらいならセルフレジ、商品が多かったりバーコードを読み取りにくそうならセミセルフレジにすることにしましょう。
1970年代頃にバーコードが出現して以来、お客さんの対応をしながら読み取れないバーコードもサクサクと数字で入力していた神技的な仕事っぷりに、尊敬の念がますます湧いてくるのでした。
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