米のあれこれ 78 多米町の田んぼとため池と豊川用水

詰め込みすぎの計画ですが早起きして向かったのは、豊橋駅前から路面電車の終点赤岩口駅でした。

地図ではここから東へ2kmほどの住宅地のすぐそばに、豊川用水東部幹線水路がトンネルから出て開渠になった部分があります。

 

2kmぐらいですが、ちょうどバスがあるようなので乗るつもりでした。ところが赤岩口駅のバス停で確認したら、どうやらダイヤが変更になってしまっていたようです。

次のバスを待つよりは歩いたほうが早そうと県道4号線を歩き始めて、少し後悔しました。次第に上り坂になっていきます。

それもそうですよね、山の際を通している水路ですから標高が高くなるのも当然です。しかも静岡県との県境の山へ向かうのですから。

 

しばらくすると豊川の支流の朝倉川が流れていました。のぞき込むときれいな水が流れています。名前がわからないオレンジ色の花も咲いています。

沿道には早朝から空いている喫茶店がいくつもあって、やはり名古屋圏だと勝手に納得しながら上り坂を歩き続けているとしだいに山が近づいてきました。

 

GPSで確認しながら近づくと目の前に高い土手が続いて、水路があるようでした。地図では水路のそばに道が描かれているので、どこからか登れるのではないかと探してみましたが、その先は一旦暗渠になって近づくこともできませんでした。

 

地図ではその暗渠の上は「広畑公園」となっていて、その先にまた開渠になって続いています。

ダメもとでそこまで歩いてみました。

朝倉川を渡ると左手は山で右手は住宅地ですが、山裾を水路が通っていてその水面を見ることができるのではないかという予想は外れ、山の中の少し高いところに水路があるようです。

「豊川用水の管理用道路」がその森の中へと続いていますが、「立ち入り禁止」になっていました。

なんと前日に続いて豊川用水を見ることもできず、幻の用水路になってしまいました。

まあ、こんな雰囲気の場所だとわかっただけでもよしとしましょう。

 

その少し先の藪の中に、「豊橋用水開通記念碑」と書かれた灰色の石碑がありました。

 

 

*多米(ため)町から水田地帯へ*

 

この場所を選んだ理由に、「多米」という地名に惹かれたこともありました。

きっと田んぼがあるに違いありません。

 

地図では、この山に沿っていくつかため池が描かれています。奈良の吉野川分水香川用水がため池をつないでいるように、この地域は豊川用水の水を利用しているのかもしれません。

どんな風景なのか歩いてみたいと思いました。

 

豊川用水路の気配だけがある山の際から少し下ると、西へとまっすぐな道路が見えました。

しばらくは両側に住宅地がありましたが、その先から南側は広い広い水田地帯が見えてきました。

「多米町」の由来だろうかと思いながら、もう一本南側の農道を歩くとまだ稲穂が残る田んぼのそばにはコスモスが咲き、小さな蓮田もあってなんとも美しい風景です。

ポツンとあるビニールハウスをのぞくと菊の栽培で、出荷間近の花が咲いていました。

近くの朝倉川の支流から取水しているのかと思ったのですが、ここも用水路ではなく田んぼのそばに水栓がある のでパイプラインが通っているようです。

豊川用水はトンネルをくぐってぐいっと東へと離れていくのですが、この地域にも送水されているのでしょうか。

いつ頃からの水田で、どのような歴史があるのでしょう。

 

小さなその内山川を渡り、住宅地のそばの鞍掛神社の鎮守の森の前にあるバス停に着くと、またどこからか金木犀の香りが漂ってきました。

 

豊橋市の東の端にある地域ですが、バスも30分に一本あるようです。

山も近く田んぼの美しい風景は、今までの「豊橋」のイメージとも違う雰囲気の地域を知ることができました。

 

ここからバスで一旦豊橋駅へ戻りましたが、その途中には「岩崎葦毛湿原」や幾つかのため池のそばを通りながら、豊橋医療センターのあたりから下り坂になって豊橋駅周辺の平地になっていくことがわかりました。

 

ここではじめて、いつも東海道新幹線の車窓から見えていた大きな池がある公園の理由がわかりました。

豊橋駅の2~3km南東に大きな公園が車窓から見えるのですが、あっという間に通過するので「なぜ豊橋のこんな平地に大きな公園があるのだろう」と思っていた場所です。

高台のため池を利用した公園だったのだと、多米町からのため池と起伏の多い道を通って納得したのでした。

 

その向こうには、こんなに美しい水田地帯がありました。

 

 

*おまけ*

 

記事を書くために「多米町」で検索したところ、なんと「11月19日に多米町滝ノ谷の登山道にクマが出没しました」とのことでした。

いやはや、熊の生活を把握しないと散歩も危険ですね。

 

 

 

 

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