昨年11月中旬、お昼頃にJR武蔵小杉駅で下車しました。東海道新幹線が並走している場所だというのになんと一本も通過しません。
まあ、これから新幹線の高架橋沿いに見放題ですからね。気を取り直して改札を出ました。
散歩で立ち寄る駅前の地図は必ず写真を撮るようにしています。「ムサコの高層マンション」がアピールされた案内図だろうと想像していたら違いました。
「なかはら歴史と緑の散策マップ案内板」には、二ヶ領用水やかつてのその分水路でしょうか、緑道として整備されている場所が描かれています。
水辺と緑の散策 二ヶ領用水・渋川コース
緑と水の豊かな二ヶ領用水では、桃の花が美しく咲き、住吉桜が満開の頃には多くの人がその風情を楽しみに訪れます。かるがもの里としても知られる憩いの散策コースです。
そうでした、あの平瀬川がトンネルをくぐって二ヶ領用水に合流した水が久地円筒分水で分けらて潤された地域が、多摩川を渡って新幹線がS字にぐいっとカーブするその先にまずあったのでした。
多摩川緑地周辺ののどかな自然景観と、かつてのあばれ多摩川の足跡という自然重視の両局面を偲ぶことができます。
コース沿いには歴史、文化遺産も数多くあります。
「等々力」というと多摩川左岸の世田谷の等々力しか知らなかったのですが、2018年に洪水によって袂を分かち、川崎側にもあることを知りました。
「あばれ多摩川」だった時代はそんなに遠くない昔だったことも。
中丸子・緑道をつなく花と緑の散策コース
中丸子地区周辺の廃路散策と水田の用水路・堀を暗渠にし整備した緑道です。季節を通じて樹木や草花を楽しむことができます。
ここからJR南武線平間駅のあたりまでの緑道は、「水田の用水路・堀を暗渠にした緑道」だそうです。
地図を眺めただけではわからないのに、この一文で二ヶ領用水の先の水田地帯、そしてそこから工業地帯へと変化した歴史がつながっていきますね。
あ、もう一つ案内板の下の方に書かれているコースを見落とすところでした。
歴史の道探訪・中原街道コース
中原街道は「相洲街道」、「お酢街道」とも呼ばれていました。街道沿いでは、旧家や地名、商家、石仏、石碑などで織りなされてきた歴史を偲ぶことができます。
道に歴史ありですね。
こうした案内地図にその地域の歴史を重層的に重ねて記録したのはどんな方々なのだろう。
それぞれの地域の生活の歴史をさまざまな視点から正確に記録し残そうというたくさんの無名の市井の人の地道な仕事がこの国をかたちづくってきたのではないか、そう思うようになってきました。
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