災害時の分娩施設での対応を考える 13 <放射性物質の水道水混入時の情報>

2011年3月22日午前9時、東京都金町浄水場で水道水に210Bq/kgの放射性ヨウ素が検出されたことが発表されました。


大震災後の日常生活用品の流通の滞りでペットボトルやウォーターサーバーの水が手に入りにくくなった上に、水道水も安全でなくなる可能性が出てきました。


調乳には水が必要な粉ミルクしか販売されていない日本です。
乳児のミルクはどのように対応したらよいのか、今まで考えたこともない事態でしたから、参考になるような文献は皆無でした。


<放射性ヨウ素と水道水に関する二つの呼びかけ>


2日後には以下のふたつの呼びかけがそれぞれネット上で公開されました。

「水道水について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内」
2011年3月24日 日本産婦人科学会

「『食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値100Bq/kgを超過する濃度の放射線ヨウ素が測定された水道水摂取』に関する日本小児科学会、日本周産期・新生児医学会、日本未熟児新生児学会の共同見解」
2011年3月24日 日本小児科学会、日本周産期・新生児学会、日本未熟児新生児学会

当時の混乱の中で、これだけ早く見解を出したのは異例の早さではないかと思います。
とても助かりました。


このふたつの呼びかけを参考にして、お母さんたちからの質問に答えることができました。


<情報は有効に活用されたか>


私自身は、勤務先のクリニックで医師から上記の呼びかけをプリントアウトしたものを渡される前にすでにネットで確認していました。


昨日書いたようにtwitterの中ですでに情報を得ていたからです。
情報を流してくださった医師の方々に感謝です。


ただ、妊産婦さんや授乳中のお母さん、そして関わる医療従事者や保健センター、保育所などにどのていどあの情報が広がったのだろうかという点が知りたいところです。


通常、上記の学会から出される情報は学会に所属する医師向けです。
たとえば、私たち助産師も上記の団体から出される情報はよほど関心が強くない限りは知ろうとすることはありません。


あるいはその情報を知った医師から伝えられて、私たちの業務内容に変更があったとしてももとの学会の情報までは通常は確認しないのが普通ではないかと思います。


ところが、今回のように医学会から枠を飛び越えて直接、社会に呼びかけを必要とするような状況では、まず医師以外の医療従事者も正確にその情報と内容を把握する必要があります。


そして医師の方針に従って、社会へ説明する責任があります。


あのの二つの呼びかけは、適切に看護師・助産師に周知されたのでしょうか?

次回はそのあたりを考えてみようと思います。




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