ネジバナ

一年中で一番日が長くなるこの時期は、夏好きの私にとって好きな季節です。
ただ、雨と湿気がもうちょっと少なければいいのですけれど。


3月から4月の花が一斉に咲き乱れる季節が過ぎると、目だった花も少なくなりますね。
あの桜に狂乱する社会が少し落ち着きを取り戻すかのように。


この梅雨時には、白や青の花が似合うような気がします。
クチナシの花とか紫陽花とか。


近所に、玄関脇に何も植えていない家があります。
普段は雑草も生えていないかのように味気ない地面だけなのですが、この季節になると一面、ドクダミが広がります。
あえてそうしているのか、放置していてそうなったのかはわからないのですが、この時期になるとドクダミの白い花とともに存在感を増す家です。


この季節に、楽しみにしている花があります。
ネジバナです。


今年もそのスクッと姿勢のよい姿と愛らしい色の花を、先日見つけました。


この花を初めて見たのは、実は10年ほど前に今の通勤路を通るようになってからでした。


らせん状の規則的なねじり方に、「この世にこんな不思議な咲き方をする花があるなんて」と驚き、通勤途中なのにしばし立ち止まってながめたのでした。
実家に帰ったときに母に話したら、またいとも簡単に花名を教えてくれました


私には世紀の大発見ぐらいの驚きだったのですが、wikipediaの説明を読むとすでに江戸時代から愛されてきた花なのですね。
「ともすれば花の綺麗な雑草として扱われ、芝刈り機で刈り取られてしまう」という一文に、このまとめを書かれた方のネジ花に対する想いが込められているようです。


そしてこんなに愛らしい花で、きっとどこかで見たことがあるはずなのに、私のそれまでの40年ちょっとの人生で気づかなかったことに、少しショックを受けたのでした。


それ以来、この時期になるとそろそろ咲くかなと楽しみにしています。


それにしても、あの捻じれ方に右巻きと左巻きがあるのですね。
へぇーーー。
まるでへその緒の捻転のようです。


わずか十数分の駅からの通勤路ですが、新たな発見がまだまだありそうです。
初夏から梅雨、そして夏までの間だけでも、こんなに野に咲く花があるのですから。