散歩をする 455 伊豆と駿河の国境を川に沿って歩く

丸池でその美しい農業用水池の歴史に触れ、しばらく水面を眺めたあと次の目的である境川へと向かいました。

地図では三島駅の西南あたりから水色の線が描かれ、南へと市街地を蛇行しながら流れて境川・清住緑地の美しい湿地と湧水の上で二手に分かれ、緑地の東側を流れる本流はまた大きな蛇行を何度も繰り返しながら三島市長伏で狩野川へと合流しています。

 

2019年に境川・清住緑地訪ねたときにはまだ境川が目に入っていなくて、2022年2月に偶然見つけた千貫樋(せんがんとい)の案内板を読んで、「そうだったのか」と印象に残りました。

伊豆・駿河国境、境川に掛けられている樋で

 

覗き込むと千貫樋の下は深い小さな谷のような趣で、小さな川が流れています。

県道145号線の南側はぐんと掘り下げられたような境川・清住緑地がある谷戸(やと)の地形で、そこに湧き出る水を合わせながら東側を流れていくようです。

そのさきはどんな流れなのだろう、国境はどんな風景なのだろう。

いつか歩いてみたいと思っていましたが、直線距離だと4~5kmといったところですが大きく蛇行を何度も繰り返しているのでそれに沿って歩くとなるとかなり時間も体力も必要そうです。

 

途中で疲れたら西へと曲がって柿田川湧水地に立ち寄って帰ることにしよう。

狩野川の合流地点まで歩いたらバス停はないし、9時ごろにはすでに24度まで気温が上がっていたので熱中症で行き倒れにならないように、絶対に無理はせずあきらめようと思いながら丸池を出発しました。

 

 

境川右岸沿いを歩く*

 

地図では大きく何度も蛇行する川沿いに道がある場所もあれば、川から離れた場所しか歩けなさそうなところもあるようです。できるだけ川沿いに歩けるように、そして寺社がある場所を選びながらのコースを考えていました。

 

丸池を出るとしばらくは右岸沿いを歩きます。

丸池からの水路をはさんで、その向こうにゆったりと流れる境川が同じくらいの高さで続いています。その少し上流は渓谷のような険しい地形を流れていたことが信じられない風景です。

川の水は美しく、水草が青々と揺れているのが少し離れていても見えました。

あちこちから初夏の花の芳しい香りが漂ってきて、幸せな散歩の気分ですね。

「第一境揚水場」と書かれた小さな小屋が川沿いにあり、そのすぐ下流に小さな堰がありました。

 

国道1号線を越えると、水田地帯が広がっています。

境川は1mほど下を流れていて、草むらの土手が続いています。あの清住緑地で二手に分かれた右側の細い流れがいくつかに分岐しているあたりで、この水田を潤しているのでしょうか。

田植え直後の水鏡に青空が映え、おたまじゃくしが泳いでいるのが見えました。なつかしい、子どもの頃はこんな風景をあたりまえのように感じていたのですが、なんと有り難いことでしょう。

 

 

しばらく水田を眺めていると、工場の脇に出ました。

工場の周囲の花壇を眺めながら歩いていたら、なんとネジバナが咲いています。路傍の小さな花に元気をもらうことが増えました。

 

また目の前に水田地帯が広がり、久米田地区に入りました。このあたりから境川沿いに寺社が増え、大きな樹木が茂る場所が増えてきました。

道端には祠やお地蔵さんがあり、そばに紫陽花が咲いています。

この辺りは海抜12〜14mぐらいのようです。平な場所が続いています。振り返ると、残雪の残る富士山の山頂が少し見えました。

 

熊野神社のあたりで、森の中のような道を川へと降りました。地図ではこのあたりから川沿いに道がありそうです。

藤泉寺のあたりから竹藪や木々の涼しい静かな道を歩くと、境川のそばに出ました。

これまでの草の土手とは違って、石やコンクリートで護岸された川に変わりました。

 

境川左岸を歩く*

 

そこにかかる松戸橋を渡って、ここからはしばらく左岸を歩きます。

昔なら、「駿河国から伊豆国へ」ということになるのでしょうか。

 

富士山がくっきりと見えました。左岸側には遊歩道が整備されていて、対岸は少し高くなっていて川辺がギリギリまで迫り竹藪と畑地になっていました。

豊かな川の水の中で、ここでも水草が一面揺れています。水がきれいなのでしょうか。

タチアオイが、6月初旬だというのに先端のあたりまで咲いていました。

 

かれこれ1時間ほど歩いたでしょうか。

思ったよりも順調に歩けて、予定していた区間の5分の3ぐらいは歩けました。これなら狩野川の合流点まで歩けそうです。

 

畑中の慈恩寺のところで、一旦東側の県道140号線へと川から離れました。ここに中郷温水池からの水路が流れていてそばに神社があるようです。

境川がすぐそばにあっても水が得られず、中郷温水池からの用水路があるのでしょうか。

 

県道へと緩やかに上ると、県道沿いに用水路がありました。わずかに高い場所を通るこの水路から分水された水路が南へとさらに水路を分けながら流れ、その先に高橋神社と鍬戸神社の境内がありました。

水の神様かと思いましたが、鍬戸神社の御由緒はわからず、高橋神社は天武天皇の時代にこの地に住んだ高橋一族の租神を祀ったものと書かれていました。

周囲を水路に挟まれた鎮守の森は、小さいながらも落ち着く場所でした。

 

再び左岸側の遊歩道沿いに歩き、県道140号線にぶつかったところで右岸側へと戻りました。

あと少しで狩野川です。

一級河川境川」の横に、「清水町」の標識がありました。

伊豆国から駿河国へと戻ります。

 

*残念ながら境川狩野川の合流点は歩けず*

 

地図では、狩野川から200mほどのところに伊勢神社と水路が描かれています。ここを目指しました。

狩野川の堤防が見え始め、畑の中に鎮守の森がありました。農道か私道でしょうか。勝手に入っても大丈夫かなと一瞬引きましたが、参道はここだけのようです。

 

涼しい木陰の中、小さなお社がありましたが御由緒はわかりません。

国境だった時代から、どのような歴史がある地域なのでしょう。

 

地図では狩野川の堤防沿いに道があるのでそこを目指しましたが、今度こそ本当に私有地に阻まれて、目の前の堤防へとたどり着くことができませんでした。

堤防の上に立って狩野川境川の合流するところを見てみたかったのですが、土地勘がないのでどうすることもできません。

 

それでも狩野川の堤防の下の道は、水田が広がり美しい場所でした。ここでも富士山が見えました。

このあたりの海抜は5mぐらいのようです。

 

 

 

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