ミズヒキ

秋の気配とともに、私の中で存在感を増すのがミズヒキです。


漢字で検索するとこの植物の語源になった水引しか出てこないので、この植物の名前はカタカナ表記しかないのですね。


あのシュッと長く伸びた茎にポツポツと赤い花がつく姿が、こどもの頃からなんとも言えず好きでした。


でもこどもって無心に残酷なところがありますよね。
あの花を見つけると、花の下の方からズズーっとあの可憐な花を全部むしっていました。
今考えるとなんと可哀想なことをしていたのかと、わーっと叫びたくなります。


おそらくこのわずか数日の開花のために、ミズヒキは全人生を賭けていたのですから。


今回、こうしてミズヒキを検索していて、またあらたな疑問と発見がありました。


冒頭でリンクした「四季の山野草」の説明では、「近縁種のシンミズヒキは葉に黒班がなく細長い」とあり、その写真のほうが私がずっと「ミズヒキ」だと思っていた姿に近いものです。
なるほど、あれはシンミズヒキというのですね。


でも、葉に黒班があったかどうか全然目に入っていませんでした。
こどもの頃から見ていたホタルブクロヤマホタルブクロであったと夏休みの宿題が終わったばかりですが、次はミズヒキの葉の観察が宿題になりました。


「四季の山野草」では、「ミズヒキは園芸用と思われているが」と書かれていて、「えっ?そうなのか」と驚きました。私にとってはずっとあれは野山の草花の分類だったからです。


こちらのサイトでは、もう少し詳しい説明がありました。

日本全土の林ややぶのふちなどにふつうに生える。高さ50~80cm、葉は互生し、長さ7~15cmの広楕円形〜倒卵形で先は急にとがり、中央付近にしばしば黒い斑点がある。茎の先に長さ約30cmの細い総状花序をだし、小さな花がまばらに横向きにつく。花被片は深く4裂し、上部の3個は赤く下部の1個は白い。花被片が全部白いものもある。花柱は2個。そう果は花被片に包まれて熟し、先がカギ形に曲がった花柱が残り、これで動物などにくっつく。花期は8〜10月。


全体にほとんど無毛。葉が細長く厚い。花穂の節間が狭く、花が密集して付くシンミズヒキがある。


すごい写実的な文章だなと、あらためて感動です。


そこにミズヒキという植物が存在している「事実」ですが、それを誰もが共通して理解できるように表現するには、緻密な観察とそれぞれの専門用語の定義が明確でなければ伝わらないのですものね。


「シュッと長く伸びた茎にポツポツと赤い花が付く」という表現が、いかに素人の観察であるかとちょっと赤面。


そして、あの小さな花についている出っ張り部分は、動物に付着して移動するためのものだったのですね。



ミズヒキになった気持ちでそのその周辺を想像すると、どんな世界が広がっているのでしょうか。