神栖を訪ねてみようと地図を見ていた時には、資料館のあと港湾にある展望台にも行ってみたいと欲張っていましたが、展望台までは徒歩で30分ほどかかりそうです。
実際に神栖を訪ねてみると、都心でも見かけることのない片側4車線の広くてまっすぐな道路を中心に街が広がっています。降りたバス停もその名の通り、「大野原」でした。
そのだだっ広さに圧倒されて、歩く気力を失いました。
やはり高低差がないと落ち着かないことと、小さな川の蛇行に沿って街が煩雑に広がっている地域だといくらでも歩ける気がするのですが、まっすぐな道というのは行けども行けどもたどり着かない感じです。
実際に、鹿島臨海工業地帯が目の前にあるというのに、遠目から見ていた方がよほど近く感じるような錯覚にも陥りました。
車があれば、もう少しあちこち見れたのですけれど。
資料館を見たあとは、早々に鹿島神宮駅行きのバスに乗りました。
*霞ヶ浦と北浦をまわる*
11月にもなると午後4時半ごろには薄暗くなりますから、散歩の計画も急ぎ足になります。
神栖市を訪れたあと、かねてから見てみたい場所を訪ねることにしました。
3年前に地図と測量の科学館を訪ねた帰りに土浦へ寄って霞ヶ浦を少し歩き、また大洗線で水戸まで行く途中、北浦の北部沿岸の風景が少しだけ見えました。
広い霞ヶ浦と北浦のほんの一部の風景ですから、その全周をみることはできないだろうかと時々地図を眺めています。
そこで発見したのが、鹿島神宮から「神宮あやめ白帆ライン」に乗ると、常陸利根川に沿って走り、霞ヶ浦の南端にある「白帆の湯」という温泉までいけるようです。
そして、そこからは「鹿行北浦ライン」という北浦の西岸から潮来まで行く路線バスがありました。
鹿島神宮からバスに乗りました。列車の車窓から見える風景とはまた何か違います。
古くからあるのだろうという落ち着いた街や新しいショッピングセンターなどを過ぎ、白帆につきました。
神社のそばを抜けると、霞ヶ浦が広がっています。
静かな水面と遠くに見える筑波山、美しい景色を独り占めしていたら、何世紀も前から同じようにここに誰かが立ってこの景色を眺めていたのだろうなとちょっとめまいがしたのでした。
霞ヶ浦を眺めたあと、鹿行北浦ラインに乗りました。水辺を離れ、昔ながらの街を過ぎ、少し山の中へと入ると高校があり、下校する女子高校生が乗ってきました。片手にスマホ、片手にタピオカドリンクというのが現代風です。
しばらくすると、北浦が見えて水田地帯が広がっていました。印旛沼の風景に少し似ています。
田んぼには冬の渡り鳥と思われる鳥がいました。
ホームには誰もいません。遠くに鹿島臨海工業地帯の煙突が見えました。
鹿島線に乗ると日が落ちていく頃で、十二橋のあたりでは遠くに赤く富士山が見えました。
日帰りでしたが、「時空を超えて世界はひろいな」と感じた充実した散歩になりました。
ただ、もっと霞ヶ浦と北浦を歩きつくしたいという新たな欲が出てきてしまいました。
困りましたね。
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