先日、大泉学園の近くにある氷川神社を訪ねるために、吉祥寺からバスに乗りました。
しばらくして車窓から遊歩道が見えました。何度となくこの道は通っているのに、初めて「あ、もしかして千川上水」とつながったのでした。あの谷端川で千川上水がつながって、そのうちにぜひ歩いて見ようと思っていたのでした。
帰宅して数日後に、歩いてみました。
玉川上水に関心が出て30年ちょっと過ぎ、玉川上水と江戸の六上水のうち千川上水以外の上水はぼちぼちと歩いています。
1月に小金井公園へ向かう途中、境浄水場の先から五日市街道にそって千川上水があるのを見ましたが、分岐点のあたりは暗渠になっていたのでなんとなくそのままになっていました。
*武蔵野の原風景*
吉祥寺から成増行きのバスに乗り、その名も「水道端」というバス停で降りると、目の間に清流復活事業で整備された遊歩道と水路の始まりがあります。
その先は、豊島区方面へ向かって暗渠になって千川通りになっています。
バス停の反対側には竹藪と大きな木のある民家があり、子どもの頃の青梅街道の記憶にあるような風景です。
水路のそばには小さな神社がありました。水の神様かと思って近づいたのですが、わかりませんでした。
いったん中学校の前が暗渠になっていますが、武蔵野台地の上を緩やかな弧を描くように、玉川上水の分水口までおよそ4kmほど水路と遊歩道が続きます。
歩き始めて10分もしないうちに、畑が広がり始めました。トウモロコシや里芋、キャベツなどが育っていました。
途中でパラパラと小雨が降ってきたのですが、遊歩道の両側には大きな木があるので、傘がなくてもあまり濡れずに歩けます。
北側には青梅街道が通り、武蔵関公園に向かって石神井川が作り出したけっこう急な河岸段丘の地形があるはずなのですが、千川上水の付近はほとんど高低差もないだだっ広い平地が続きます。
この水路の水がなければ、ここにこれだけの農地を作ることも難しかったのかもしれませんね。
私が幼児の頃に住んだ場所も、都内なのにまだまだ畑が広がるこんな場所でした。私にとっての武蔵野台地を思い起こさせるような風景です。
あっという間に半分ほど歩くと、NTT開発研究センターの前の交差点からしばらくは道路の片側に遊歩道がありました。大きな木に囲まれた水路沿いを、水を見ながら土を踏んで歩けます。
次に五日市街道との交差点からは、今度は五日市街道の真ん中に、やはり大きな木に囲まれて水路が続いています。
ところが、そこへと渡る歩行者用の横断歩道がなく、突如として交通量の多い道路の真ん中に千川上水が始まっているのです。
歩いてはいけないのかとがっかりして、しばらく五日市街道沿いを歩いていると、どうやら水路のそばは歩けるように整備されているのが見えました。次の横断歩道で、また千川上水沿いの遊歩道に入りました。
ほんと、忽然と歩道がなくなる道路って多いですね。
さらに歩いていると、境浄水場までの暗渠部分になりました。
ちょうど雨も本降りになってきたので、ここでバスに乗り三鷹へと戻りました。
遊歩道のそばにはおしゃれな住宅やマンションもできて現代の風景なのに、あの水路があるだけで半世紀以上前の風景、いえ江戸時代ぐらいからの風景が見えてきそうでした。
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