3週間ぐらい前でしょうか、ベトナムのおじいちゃんが沐浴の方法を説明するYou Tubeを見ました。
おじいちゃんといっても、きっとベトナムだとまだまだ40代から50代ぐらい、下手したら30代後半かもしれません。
小さなタライの中に赤ちゃんを入れて、流れるような柔らかな手つきで体を洗いながら説明しています。
と、最初その見事な手つきの方に目がいったので、モデルの「赤ちゃん」が本物の猫だったことにあとで気づいたのでした。
猫が体をまっすぐにして、おじいちゃんにされるがままにお湯につかっていました。
最後はその猫をおじいちゃんの大腿部にのせて、掛け湯をして終わり。
背後に流れるベトナムの音楽と、その赤ちゃんの対応に慣れた男性の姿、いえこの場合は猫ですが、一瞬にして以前暮らした東南アジアの村や難民キャンプに気持ちが飛んだのでした。
*どのように沐浴の方法をイメージするか*
暑い国ですから、外に井戸や水道の蛇口がある場所で、ゆったりとたらいの中で沐浴をしてもらっている赤ちゃんの様子をよくみました。
きっと、そうやっていつの間にか見ているので、赤ちゃんのあやしかたも沐浴さえも自然に身についていくかもしれませんね。
私はすでに子どもが二人または一人という少子化時代の始まりの世代ですから、身の回りで赤ちゃんに接する機会はほぼありませんでした。
でも、赤ちゃんのお風呂の入れかたは看護学生になる前からイメージできたのは、私の人生最初の写真である沐浴の姿だったのかもしれません。
ところが看護学生で学ぶのは、水深もあるたっぷりのお湯の中で、新生児を泳がせるような方法です。
しかも、少し洗う順番が違うと注意されますから、産科実習の中でも最も緊張するものでした。
そうやって沐浴方法を叩き込まれた看護スタッフが、お母さんたちにも同じように厳しい視線で「指導」してしまうことがあるのも当然かもしれません。
冒頭の映像で大事なポイントは、フワ〜っとした優しい洗い方で赤ちゃん(猫)をリラックスさせるほど熟練している人が実施していることかもしれません。
そう、新生児や赤ちゃんは人の手がある社会が必要ですね。
ただ、このようなYou Tubeに需要があるということは、ベトナムでもやはりしだいに沐浴をしてくれる身の回りの人がいない中で、出産直後から自分たちでしなければいけない小さな家族へと変化して来ているのでしょうか。
核家族化や出産年齢が上がったことで、「実家の手伝い」が得られない人たちが増えたこの20年ほどの変化ですが、さらに今年は新型コロナの影響で里帰りをやめたり、実家からの手伝いが来れなくなる人が増えました。
自宅で無理なくできる方法をいくつか説明するようにしているのですが、きっと出産直後のお母さんはいっぱいいっぱいでしょうね。
産後すぐの身体中が大変な時期に沐浴実習をしなくても済むように、自宅で簡単にできる沐浴方法を、周産期看護系のだれかがビデオ化して誰でもいつでも無料で観ることができるようにしてくれるといいのですけれど。
ただ、看護系も微に入りさいを穿つような説明や、やってもやらなくても変わらないような内容を見直すことが先ですね。
家庭の沐浴の難易度が高くなってしまった、沐浴も驚異的に変化する時代なのかもしれません。
「沐浴のあれこれ」まとめはこちら。