名鉄線常滑駅のすぐ手前で、土砂降りの雨で薄暗くなった中に、真っ黒な四角い建物が見えました。
工場のようです。黒壁の工場はスタイリッシュで、それでいて街の雰囲気にあっている印象でした。
ぼんやり見えたロゴマークで、「もしかしてINAX?」と思いました。
でもよくよく見ると、「LIXIL」でした。
帰宅してから検索すると、もうINAXという会社はなくて、LIXILに合併されていたそうです。
子どもの頃から、便器というと伊奈製陶と東陶と二つの会社が思い浮かぶので、「常滑」「焼き物の町」からなんとなく伊奈製陶だと思いついたのでした。
まあ、当たらずとも遠からじで、やはり伊奈製陶はこの常滑だったようです。
常滑焼の産地である愛知県知多郡常滑町において、1887年(明治20年)頃から陶工の伊奈初之丞が陶管の製造を開始した。1921年(大正10年)、伊奈初之丞は大倉陶園創業者である大倉和親の支援を受けて匿名組合伊奈製陶所を創業し、陶管(土管)やタイル等の建設用陶器を製造した。1924年(昭和13年)2月には伊奈初之丞の長男である伊奈長三郎が法人化を行い、森村グループのタイルメーカーとして伊奈製陶株式会社が設立された。伊奈長三郎は常務に就任し、以降も伊奈家が経営に関わってきた。1945年(昭和20年)には衛生陶器の製造を開始して、同じ森村グループの東洋陶器株式会社(後のTOTO株式会社)とライバル関係になった。
イナックスになったのが1985年(昭和60年)で、2002年にINAXに変更、そして2011年にLIXILと合併したようです。
一方、1917年(大正6年)に創業した東洋陶器は、1969年(昭和44年)からTOTOというロゴマークを使用したとあります。
今日のタイトルですが、なぜ「伊奈製陶とTOTO」と思いついたかというと、子どもの頃に記憶した社名やロゴマークだったからのようです。
トイレや洗面器などの衛生陶器では、TOTOと同社で日本国内シェアの9割程度を押さえる。便器のシェアはTOTOが約60%でINAXが約30%、温水便座のシェアはTOTOが約55%でINAXが約25%である。
(「INAX」「製品」より)
日本で今のように内風呂と水洗トイレが広がりだしたのは1950年代終わり頃のようですが、その当時、まだこの知多半島には愛知用水がない時代でした。
水不足に悩む地域から最先端の水洗の衛生陶器を生み出すようになるとは、創業者の時代には夢にも思わなかったかもしれませんね。
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