落ち着いた街 12 落ち着いて問題解決方法を探す

東京都都市整備局による「崖線の緑を保全するためのガイドライン」(平成24年)の具体的取組として、「緑地保全、建築・開発規制、景観形成など各種制度を組み合わせた保全手法や適切な維持管理手法などを取りまとめた崖線の緑を保全するガイドラインを策定」と書かれていました。

 

とてもすっきりとまとめたこの一文ですが、実際に散歩をしていると、公有地や私有地が入り混じり、そしてそれぞれの好みで土地が利用されている状況あるいは、打ち捨てられたかのようになったままの土地、そして渇水排水のバランスとか、ほんと大変そうだなと思い浮かべています。

 

 

*緑保全における課題*

 

平成21年(2009年)の東京都のアンケートによれば、民有地の緑の保全について「必要だと思う」が73%、「どちらかといえば必要だと思う」が25%を占めていたと書かれています。

 

おそらく、最初は公衆衛生防災の視点で整備された公園が、一世紀を経て生活の一部になり、一見、経済的な効果はないけれどそこに木が残っていることが生活には必要だという意識が根付いたのかもしれませんね。

 

 

具体的な「緑保全における課題」が以下のように書かれていました。

保全する緑が不明確である 

崖線は崖地に連なる緑という定義があるものの、その緑の所有状況や管理状況については明らかになっていないことが多い。そのため、緑の保全制度の適用について計画的、戦略的に行うことが難しい状況にある。

 

開発時における緑の保全方策の検討 

いわゆる「斜面マンション」建設の増加等により、開発時に崖地の緑が失われることにより、崖線の緑が分断され、崖線の緑の特色である連続性の担保が難しくなっている。開発時における緑の保全について、各種の規制や誘導方策を適切に適用できる仕組みの構築が課題となっている。

 

緑の所有者の管理負担の軽減 

緑の所有者は、剪定・落ち葉掃き等の日常的な管理負担に加え、ごみ等の不法投棄の対応などの問題も抱え、さらに高齢化等により緑を良好に管理することが大きな負担となっている場合もある。所有者への管理負担の軽減策の検討が課題である。

 

崖線の緑に関する認識不足 

崖線の緑の多様な役割や連続性を保っていくことの重要性が広く社会に認識されていないことが、緑の所有者の心理的な負担等にもつながっており、崖線の緑の保全の重要性や保全活動に積極的に参加していけるような環境づくりが課題となっている。

 

多様な主体の連携 

崖線の緑を今以上に減らさず、良好な状態を保って行くためには、行政単独での取組や所有者単独での管理だけでは不十分である。行政間の連携に始まり、行政内部の連携、緑の保全活動に係る市民活動団体間、周辺の企業等の各主体が共通理解の下で、横断的な取組を展開して行くことが求められている。

 

以前はこういう文章はちょっと眠くなったり、目が滑って内容が頭に入ってこなかったのですが、最近はとても興味深く読むようになりました。

これもまた散歩をするようになって、自分自身もまた受益者であり当事者になったのかもしれませんね。

 

そして理想に向けての解決は、具体的な問題をあげ、色々な視点からバランスの取れた方法を考えていくことの積み重ねですね。

そして人の意識が少しずつ変わり、一世紀とかの長さで解決していくのかもしれません。

 

 

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