昨年2月に広島・岡山を訪ねた時は、芸備線で広島へ行き、広島からは呉線と山陽本線を乗り継いだので、結局、今まで山陽新幹線には何度乗っても岡山駅まででした。
初めての岡山から博多まで新幹線の車窓の風景です。
在来線と並走する区間はごくわずかで、ほとんどが違うルートであることは、以前から地図を見てイメージしていましたが、今回、計画する段階でじっくり見ていたらもしかしてほとんどがトンネルなのではないかと思える場所でした。
線路が直線に描かれている場所が多いのは、そのためかもしれません。
*初めて山陽新幹線に乗って50年ひとむかし*
初めて岡山まで新幹線で行った時の記憶があります。中学生の時で、初めての山陽新幹線だけでなく、初めての一人旅でした。岡山駅まで伯父伯母が迎えにきてくれたので、新幹線の中だけの一人旅でしたが。
乗り換えを間違えないようにとか緊張していたのか、数時間ほど電車の中にいることが退屈に感じていたのか、車窓の風景は記憶に全くありません。
山陽新幹線の「概要」に1972年(昭和47年)に新大阪岡山駅間が開業、1975年(昭和50年)に岡山駅ー博多駅が開業とありますが、私が乗ったのは開業して1~2年の頃だったようですが、こだまの停車駅から乗り、途中でひかりに乗り換えて5時間近くかかったような記憶がおぼろげながらあります。
1990年代にのぞみで岡山まで4時間で行けたことに「速くなった」と感動したのですが、現在では品川から岡山駅まで3時間5分、博多までは4時間46分です。
ほんとうに旅にかかる時間が驚異的に短くなった半世紀だと思い返しています。
*山陽新幹線とトンネル*
今回特に楽しみにしていたのは関門海峡の海底トンネルの前後の海の風景でした。どのあたりからトンネルに入って、どの辺りで出るのだろうと思い航空写真に切り替えて地図を見たところ、新下関駅を出るとじきに本当にすぐに地下に入り、そのまま海底トンネルから門司港の東側を弧を描いて地下を走り、山の地下を通っています。
普通なら山が終わるとトンネルが終わって線路が見えるのに、どこまでも線路が見えません。
なんと、小倉駅手前の住宅地の駐車場のそばでトンネル部分が終わり、ひょっこりと線路が現れていました。
都内でも、こうした地下部分から住宅街に忽然と線路が出る場所はあるのですが、新幹線ですからね。意表をつく構造でした。
東海道新幹線が開業した60年代はまだ田畑の中が多かったのでしょうが、 その後、海岸線の狭い平地は工場地帯や住宅の開発もあって、トンネル技術の向上だけでなく用地を得るのも大変だったのかもしれないと想像したのですが、Wikipediaの「山陽新幹線」の「沿線概況」にそのようなことが書かれていました。
前述のように緩やかな線形を採用したことや、平野部での住宅密集化によって用地取得が困難なこともあり、東海道新幹線より、トンネルが多くなっている。大小142本のトンネルが存在し、トンネル区間がしめる割合は50.8%、岡山以西に限定すると実に56.4%にのぼる(トンネルがない区間は西明石駅ー姫路間のみ)。
あまり車窓の風景は期待できないのかなと思ったのですが、トンネルを出るたびに風景が変化し、家々の造りや瓦の色が変化し、そして用水路や川や水田が美しい風景に目を離せませんでした。そしてトンネルがあるおかげで、メモをする時間ができました。
水田以外のメモはこんなことを書いていました。
小田川、堤防、貯水池
三原、奥、採石場
三永水源地
太田川放水路、広島を出てまたずっとトンネル
徳山、干拓地?海!工場地帯
瓦、赤
切畑、新山口までの風景、美しい!
新山口駅、操車場
切り通しとトンネル
海底に下がる、前のめり
あっという間に門司を過ぎて3分で小倉に到着の放送
トンネルが多い路線ですが、2016年12月22日全線で携帯電話が通信可能になったそうです。
ずっとGPSをオンにして地図を追いながら乗っていましたが、どのトンネルも途切れることもなく、iPhoneのメモがごっそり消えることもありませんでした。
ただ、さすがに海底トンネルの途中では、GPSが追いつかずに止まっていましたが。
小倉駅手前で地上に出るあたりはどんな感じだろうと見逃さないようにしていたのですが、あっけないほどふわりと地上に出ました。
そして目の前に大きな茶色の製鉄工場がそびえるように建つ風景に、また息をのみました。40年ほど前に教科書で見た八幡製鉄所とつながりました。
明治時代から現代へちょっと不思議な感覚に陥りながら、九州に到着したのだと実感しました。
あっという間の4時間46分で、退屈するどころか、また見てみたい訪ねてみたいと思う場所が増えました。
ほんと、車窓の風景は楽しいですね。
*訂正*
最初は「初めて山陽新幹線に乗って40年ひとむかし」と書いたのですが、半世紀過ぎていましたので訂正しました。(2022年4月13日)
「散歩をする」まとめはこちら。