佐世保駅に到着する少し前から佐世保湾が見え始めました。
地図では、佐世保湾は大村湾に向かって長細く開かれた湾に描かれているので、大きな半島の入江から太平洋が見えるあの葛西臨海公園からの東京湾のイメージでした。
ところが佐世保駅の前は対岸で囲まれれていて、まるで湖のような場所でした。
横須賀駅や東舞鶴駅あるいは江田島の近くに雰囲気が似ています。
どこを歩こうかと計画していた時に、地図では佐世保の中心部に佐世保川が流れていて、たどると3~4kmぐらいの場所に山の田浄水場とありました。
Wikipediaの佐世保川を読むと、「延長 5.2km」という短い川です。
その「関連施設」に山の田水源地の歴史が書かれていました。
堤高24.5m・堤頂長310m・流域面積4.5㎢・有効貯水量55.1万tのアースダムである。明治19年(1886年)に大日本帝国海軍の佐世保鎮守府が置かれることが決定し、流域の発展が始まった。海軍の飲料水確保を目的として山の田水源地の造成が進められ、明治41年(1908年)に完成した。1日に8,000tを取水している
地図でなんとなく見つけた場所ですが、俄然、興味が出てここを訪ねることにしました。
*山の田浄水場*
14時過ぎの松浦鉄道西九州線伊万里行きの列車に乗ると、10分ほどで山の田駅につきます。
佐世保駅を出るとじきに小高い場所になり、複雑な地形の山肌に住宅がぎっしりと建っていました。
山の田駅から浄水場までは地図では300mほどなのですが、快晴で気温34℃ぐらいある中、坂道を登り始めただけで一瞬引き返そうかと気が弱くなりました。
でも、山肌に建つこんなにたくさんの家々にどうやって水が運ばれているのか、やはりみてみたいと思いました。
山の斜面から湧き水でしょうか、ところどころに小さな流れがあります。
しばらくすると、緑色の堤が見えました。アースダムまでは「山の田自然歩道」が整備されているのですが、夏草が道をおおっていました。草むらを歩く格好ではなかったので、そこから引き返し、浄水場の方へ向かいました。
古い建物も一部残されていました。
何か工事中で、「山の田水系配水本菅布設(φ700mmシールド工区)工事」と表示があります。
こんなに暑い中、工事は粛々と進められ、どのような場所にも清浄で豊富な水が廉価で給水されているのですね。
佐世保市水道局のホームページによると、「山の田浄水場は、完成後約100年を経て、施設が古くなっていた旧山の田・大野浄水場を統合させ、平成27年4月に新たな浄水場として生まれ変わりました」とありました。
計画ではここから市街地まで佐世保川に沿って歩いて戻る予定でしたが、この山の田駅から浄水場までのわずか数百メートルでも暑さとアップダウンの道で力が尽きそうになり、バスで佐世保駅まで戻りました。
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