境界線のあれこれ 106 貨幣とポイント、公と民

東京都の早起きしてね運動は2016年の都知事選の公約「7つの0(ゼロ)」の満員電車の改善でしたが、今回の都の物価高対策はどんな公約に基づくものだろうと、「東京大改革2.0 東京の未来は都民と決める」を読んでみました。

 

*公約にありましたっけ?「1万2000円分のポイント還元」*

 

以前に比べてものすごい量の公約になっていて、「「爆速」デジタル化」「スタートアップによる「東京発」非対面・非接触(タッチレス)の新ビジネス」とか、「サステナブルリカバリー」「スマート東京」「対面・オンラインのベストミックス・インクルーシブな環境」「ソーシャルファーム」「東京版ティアハイムの検討」「性的マイノリティのアウンティング」「ワイズスペンディング」とか、まるでどこかの企業の企画書かそれとも広告代理店にお願いした内容なのか、目が滑ってしまいました。

 

横文字だと受け止め方に差が出るのに公約は正確に伝わるでしょうか、いや伝えたくないためでしょうか。

 

「東京版ティアハイム」、「ハイム」は家のことだからもしかして年金者住宅とかだろうかとちょっと期待して検索したら、動物の保護施設のことだそうです。

なんだかなあ。

 

で、この「都民の生活を守るとともに、消費を喚起することによって経済を活性化する」はどの公約だろうと一通り読んでみましたが、よくわかりませんでした。

しいてあげれば、これでしょうか。

「グレーター東京」(大東京圏)構想の推進

 

権限・財源セットでの国から地方自治体への権限移譲による地方分権

(中略)

「東京発」規制緩和・岩盤規制突破モデルの構築・推進

 

いつの間に「大東京圏」なんて言葉ができてきたようです。

 

政府もそうだけれど、自治体まで公約にもないことが滑っと、打ち上げ花火のように決められていくのは何だろう。

 

 

*「Tokyo Tokyo Point」*

 

1月下旬に気になっていたニュースと少しつながりました。

 

東京都独自のデジタル地域通過、QRコードでポイントを貯めて使える「Tokyo Tokyo Point」

 

東京都は1月26日に開いた知事記者会見で「Tokyo Tkyo Point(仮称)」について説明した。

「Tokyo Tokyo Point」は専用アプリ・QRコードを用いて飲食店やスーパーといった都内専用加盟店でポイントを貯めたり、使ったりできる「デジタル地域通過プラットフォーム」となる。

たとえば健康づくりやセミナーなどのイベントに参加することでもポイントが貯められるような、各種給付・施策推進に向けたインセンティブとしての活用も考えられている。

令和6年度予算案「『スマート東京』『シン・トセイ』の推進1757億円」(DXを推進し都民が実感できるQuality of Service向上を実現)に含まれるもので、今後民間決済事業者を活用して構築、運用していくとしている。

(グルメWatch、2024年1月28日)

 

 

「ポイント還元に91億円」にびっくりですが、1757億円ってもう安いんだか高いんだか想像もつかない額ですね。

ポイント会社等はどんな利益を得るのだろう。よほど現金でそのまま都民に使ってくれた方が良さそうな気がするのですけれど。

 

ここ30年ほど「小さな政府へ」「民間にできることは民間へ」という声で誘導された社会は、国が発行する通貨ではなく民間のポイントを使うようにするためだったのでしょうか。

そしてそれは誰もが恩恵を受ける公平性や普遍性とも違う、使うか使わないかでも差が出るし、早い者勝ちの世界ですね。

 

以前はポイントなんてしょぼい話だったのに、搾り取られ生活に希望が持てなくなってきた時代だからポイントがありがたがられるとも言えそうで、ポイントポイントと言われるたびに経済の閉塞感が増してくるのですが。

 

本当は「公」がその国の貨幣の信用で民の生活を安定させるのが筋で、そうすれば物を作り流通させる仕事にも労働の対価がきちんと支払われるし、ポイントも廃れていくのが良いのではないかと思えてきました。

ポイントって、やはり「囲い込み」と「中間搾取」ではないかと。

 

そしてスマホを持てない人、持たない人ははなから相手にしていない内容は、政策としてどうなのだろう。

 

ポイントって何だろう、貨幣とポイント、公と民の境界線について考えることが増えてきました。

 

 

*おまけ*

 

そうそう2月初旬、東京都がマッチングアプリの提供を始めるというニュースもありましたね。

公と民、何だかわけのわからない世界が混じり合っているかのようです。

東京都議会の皆さん、「政治家」として大丈夫ですか?

 

 

*おまけのおまけ(2024年2月22日追記)*

 

公開した記事を読み直していて、「ワイズス ペンディング」と変なところに空白が入っていることに気づきました。

編集画面を確認すると空白は入っていないのに、公開する時には「ペンディング」だろうと変に気をきかされてしまうようです。

デジタルってやっぱり万能じゃあないですね。困ったもんです。

 

 

 

 

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