ここで「たかざ」だと思い込んでいたのですが、「こうざしぶや」と読むことに初めて気づきました。前回この駅を利用したときにはぼっとしていたのか気づきませんでした。
ちなみに古くは「たかくらぐん」とも読んだとあり、7世紀まで遡って記録があるようです。
さて、まずは駅前の広場に行き駅周辺地図を眺めて納得しました。小田急線と交差する100mほどの区間がトンネルになって東海道新幹線は地下を通っていました。高架橋で交差していなかったのは、境川と引地川に挟まれた尾根のような場所を小田急線が通っているからかもしれません。
この地図にも「歴史と自然のふれあいコース」「大和ゆとりの森コース」というその地域のウォーキングコースが描かれていました。いつか歩いてみたいものです。
まず西側のトンネル口を見て、「新幹線のトンネルの上」を歩き、東側のトンネル口も見て満足しました。100mほどなので、あの愛知用水大高トンネルのようにほんと、「あっ」というまに通過して気づきそうにないですね。
*散歩のスタートはランチから*
駅周辺は川にはさまれた尾根の上のわずかな平地という感じで、国道467号線を渡って境川方向へ向かうとすぐに下り坂になりました。
坂の途中の林と竹藪の中に、地図で見つけた下和田区の左馬神社とケヤキがありました。文字がかすれてしまった案内板に「屋敷林」と読めるように、このあたりはそばを新幹線が通過しているのが信じられないような昔の雰囲気がありました。
じきに境川のそばに長細く県営団地が広がる風景になり、川を渡るときに300mほど上流を新幹線が通過していきました。冬の真っ青な青空に白と青線の車体が本当に美しいですね。
川の反対側にも県営団地が続き、その敷地が途切れるあたりで境川左岸の段丘へと急な上り坂が見えました。
その手前を右手に入ったところにあるお店が最初の目的地です。
散歩の途中や終わりに「ランチする」のが夢ですが、今回はスタートからのランチです。
12月下旬、この日はプールの年内最終営業日で、まずはひと泳ぎしてそのあと散歩をする計画にしたのもお腹を空かせてこのランチを食べるためでした。
*牛肉のフォーと揚げ春巻き*
お店はすぐにわかったのですが、営業中かどうかよくわかりません。いつもならそれでひるんでやめてしまうところですが、今日はここが目的ですから思い切って入ってみました。
数人のお客さんとお店の人も混じって、宴会でもしているかのようににぎやかに食事中でした。ベトナム語だというのはわかりました。
突然の闖入者になりしばらく観察されている静けさがありましたが、どうやら営業中のようです。
ずーっと夢見ていた難民キャンブの屋台や難民の方々の家に呼ばれて食べたベトナム料理の味が再現される期待が高まってきました。
90年代ごろからは日本でもベトナム料理の本格的なお店が増えてベトナム料理を食べることはできるのですが、私が求めている「あの味」にはなかなか出会いません。
目の前に大量の生野菜が盛られた上に大きな揚げ春巻きがど〜んと運ばれてきて、次にあつあつのスープの上に生のもやしとハーブがこれまたあふれんばかりにのった牛肉のフォーが来ました。
ああ、これだ。気取ってなくて、野菜や肉がこれでもかというぐらいにのっていて、みんなでわいわいとした雰囲気で食べる料理。
隣りに若い男性が座りました。3世ぐらいの世代かなと思っていると、「そんなに食べられるのですか?」と普通に日本語で話しかけられました。
想像より多くてびっくりしたと答えると、笑っていました。
あまりあれこれ詮索するような会話もぶしつけかと思い、ベトナムからか尋ねるとカンボジア出身だとのこと。
インドシナ難民として定住した方の3世ぐらいでしょうか、それともそれよりあと、研修生やらのシステムで来日して働いている方でしょうか。
40年ほどのこうした国々との関係も、思えば遠くへ来たものですね。
日本人のこれくらいの若い世代の人だと、知らない「おばさん」になんて絶対に話しかけないでしょうけれど、なんだかこの相手との気さくな「溝のなさ」も懐かしくなったのでした。
ベトナム語が飛び交いカンボジアの青年がそばに座って食べていて、山盛りの料理が出てくる。これこそが本場インドシナ難民キャンプのあの味だと満足してお店を出ました。
お店を出るとそこは日本の風景だったので、一瞬、いつのどこにいるのか混乱するような感覚に陥りました。
そして団地の中を歩き始めると、同じ味のようでやはり先ほどのは「大和の本場ベトナム料理」だったのだと思い直しました。
40年ほどこの団地で暮らしながら、日本の生活に慣れていかなければいけないさまざまな葛藤のなかで変わらないようにしていった料理だったのですからね。
「食べるということ」まとめはこちら。
新幹線の車窓から見えた風景を歩いた記録はこちら。
あわせて「難民についてのあれこれ」のまとめもどうぞ。